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新学期・操行ゼロのsonozyのレビュー・感想・評価

新学期・操行ゼロ(1933年製作の映画)
4.0
1933年『アタラント号』の前年に残したジャン・ヴィゴによる45分の中編。
当時上映禁止処分となったという、抑圧された寄宿舎生活・学校に反旗を翻す子供たちの物語。

休みを終え、新学期、寄宿舎に戻った子供たち。(男子校)
イタズラ大好きな悪ガキたちを管理仕切りきれてないちっちゃいヒゲ校長、教頭が面白い。
そしてやってきた新任教師はどうやら子供たちの味方。

悪ガキリーダーの3人は知事が参列する式典の日の悪だくみを練っている。
そこに、見た目女の子のタバールが変態教師への怒りをきっかけに加わって、式典の日の前夜、枕投げの綿・羽根が舞う中、意気揚々とまさに反旗を翻すシーン。素晴らしい。

式典の日には4人で屋根の上から色々投げてめちゃくちゃにする。
アナーキーな子供たちを応援するジャン・ヴィゴの姿のようにも見える新任教師が屋根を見上げて微笑み、4人は屋根を駆け上がるラストの痛快さ。

寄宿舎に戻る汽車の中での悪ガキのやり取り(親指が切れたように見せる古典的マジックとか。笑)、微笑ましい校長のキャラ、タバールという個性、スローモーションや、突然挿入されるアニメなど、自由自在なヴィゴの表現力が楽しめました。

タイトルの「操行ゼロ」というのは、学校側が「素行不良でゼロ点」にするぞ!的な意味のようなので、ヴィゴ的には、"新学期で操行ゼロ?上等じゃねーか!"的なアナーキーなニュアンスでしょうか。
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