爆裂BOX

オーロラの彼方への爆裂BOXのレビュー・感想・評価

オーロラの彼方へ(2000年製作の映画)
4.5
子供の頃に金曜ロードショーで見て以来の鑑賞ですが、やっぱり面白く楽しめたSFファンタジーサスペンスですね。
オーロラが空に現れた夜に、30年前に殉職した消防士の父フランクと古い無線機で交信が繋がった刑事の息子ジョンが何とか父が死ぬのを回避しようとしますが、初めは幼馴染の親友がふざけていると思った無線相手が本物の過去の父と気づいて必死で呼びかけるジョンの姿は、ジム・カヴィーゼル(「パーソン・オブ・インタレスト」のリース君も若い!)の熱演もあってスッと入り込めますね。フランク役のデニス・クエイドも、「ザ・アメリカのお父さん」という感じで逞しくカッコイイ。彼が殉職する事になる火事の現場に突入していくシーンも過去が変わるのかハラハラしながら鑑賞出来ました。助かったフランクが「チーフだ。あいつはチーフなんだ!」と叫ぶシーンや、その後無線で父親と会話して涙を流して喜ぶジョン、過去から現在までの30年分の話で楽しそうに会話して盛り上がる二人の描写など最高にエモくて目頭熱くなります。
こういうタイムリープものだと過去を変えないようにするものですが、これはフランクの死を変えたように結構過去変えていきます。過去を変えると現在の状況も変わりますが、目の前で机に文字が彫られたり部屋の風景が変わっていったりとリアルタイムで状況が変化していくのは面白かったですね。過去が改変されると改変される前と後の二つの記憶がある所は「バタフライエフェクト」っぽい。
過去改変の良い所ばかりじゃなく、タイムパラドックスとしてジョンが現在で追っている看護師を標的にした連続殺人「ナイチンゲール殺人事件」が絡んできて、父を救った代わりに母が連続殺人の被害者になってしまう展開から物語はサスペンスになっていきます。感動的なSFファンタジーだと思ってただけにこの展開は驚きました。
母やその他の被害者を救う為、無線を通して過去と現在で父子がタッグを組んで連続殺人鬼を止めようとする展開はアツくてサスペンスフルでハラハラできました。トイレで襲われるシーンや警察署に犯人がやってくるシーンは緊張感ありましたし、救えた被害者と救えなかった被害者がいる所も何かリアルでいい。
現在と過去の両方で同じ殺人鬼に襲われる終盤もスリルに満ちてました。あの犯人も改変された過去で正体バレたのによく今まで逃げ延びたな。「彼」が再登場する所は分かっていてもカタルシスに満ちていたし感動した。
皆で野球しているハッピーエンドなラストも後味が良くて大好きですね。「親子愛」というテーマは最後までしっかり貫いてますね。
余談ですが、日本でもリメイクされた韓国ドラマの「シグナル」はリメイク表記ないけど絶対これ基にしてると思うけどなぁ。この映画アメリカでも同じく「シグナル」のタイトルでドラマリメイクされましたが、そっちは1シーズンで打ち切りになったんですよね。
上質のSFファンタジーサスペンスで、今見ても楽しめる傑作ですね。