佐藤でした

インサイダーの佐藤でしたのレビュー・感想・評価

インサイダー(1999年製作の映画)
3.6
CBSテレビ局で人気報道番組のプロデューサーを務める、バーグマン(アル・パチーノ)のもとに匿名の書類が届けられる。それは、あるタバコメーカーの極秘ファイルだった。彼はその書類の意味を探るうち、ブラウン&ウィリアム社の元・研究開発部門副社長のワイガンド(ラッセル・クロウ)という人物に行き当たるが…。

ワンマンだがエッヂの効いた質問で人気を博する番組の看板ジャーナリスト、マイク・ウォレスのインタヴューを受けて欲しいというのがワイガンドへの依頼だった。
しかし実は、彼は不当な理由でクビになったばかりだった。仕事内容に触れるのは守秘義務があるからと断るが、1万ドル超のギャラは家族を養う者としては喉から手が出るほど欲しいのも事実だ。

どこからその内密なやり取りを嗅ぎつけたのか、会社の上層部が、守秘契約の項目を追加してきた。まだインタヴューの受諾も、話す内容も明らかになっていない時点から、会社側は必死で何を隠そうとしてるのか…?

という具合で大きなテレビ局 対 大きなタバコ会社の構図となり社会全体を巻き込む告発問題へと発展するわけですが、
こういう壮絶な大問題を扱う作品は役者さんの存在感が“肝”になると思う。

長年心血と情熱を注いできたテレビマンと、真面目一貫な研究者で重役まで務めたが今は少々やさぐれた男(・夫・父親)、に見えなければならない。主演2人の説得力ある演技がこの映画を牽引していました。

また、頭を回転させ続けるシナリオと、その背景で流れる感情をくすぐるような旋律もまた効果覿面。半ば辺りで、集中の糸が切れたとしても、緊張の糸は切らさないマイケル・マンです。


結局
ワイガンドは、この一連の騒動で

何を失って
何を得たのか。

愛する娘たちと妻を危険な目に遭わせ、いくつもの問題にぶち当たって辛い思いをして。
甘く弱かった自分自身をも乗り越えて、
国民のため、正義のため、真実のために戦って、本当によかったのか。

ヒーローは、生半可な気持ちではなれないということだ。
佐藤でした

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