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ダイナマイトどんどんのmidoredのレビュー・感想・評価

ダイナマイトどんどん(1978年製作の映画)
2.8
戦後5年の北九州、これからはヤクザも民主主義のやり方で戦おうと野球チームを作ったが…というストーリー。菅原文太主演の異色の任侠スポーツコメディです。ほとんどギャグ漫画でした。

若き日の菅原文太は全身ばね仕掛けのようですごい。元気いっぱいでちょい抜けていてとても魅力的でした。対する北大路欣也のギラギラした感じもかっこいい。田中邦衛の妙な投手もチャーミングでした。みな泥だらけになりながら全身で演技をしていて観ているだけで元気になれます。

しかし、せっかちな現代人としては決勝戦がダルかった。本来なら1番の見どころであるべき場面がダルいのは意味が分かりません。大人数での大乱闘シーンなども撮影は大変だったろうとは思いましたが、起伏がなさすぎてほとんど寝てました。おっぱい応援ダンスにも昭和のやるせなさを感じます。

考えてみれば、1950年は朝鮮戦争が始まり、戦後公職追放されていた“大日本帝國”時代の有力者が大勢復権して日本の民主化に待ったがかかった年とも言えます。現在の日本の政治状況を思えば、占領軍の指導の元ヤクザまでもが民主主義を復唱しつつもやむなく失敗してしまうあたりなかなか皮肉な映画です。決勝戦から続く大乱闘の虚無感はそこに通じているのかもしれません。
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