サム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズ2作目。自分の人生よりヒーローとして生きていくことを決めたピーターだけど、それこそスタン・リーの言うように、彼も中身は一人の人間なのであって次第に私生活と人助けの板挟みにストレスを感じていくという苦悩と葛藤がテーマ。それでいてそこまで重苦しいテイストではないので気楽に観られる。
アクションを売りにしたアメコミ界隈でも未だ受賞歴の少ないアカデミー視覚効果賞を得たほどの本作のVFXは、ドック・オクの4本のアームの滑らかで緻密な動きを表現できていて『マトリックス レボリューションズ』しかりこの時代の映像技術のレベルの高さをとうに感じさせる。スパイダーマンとのビルの側面を舞台にした戦いは前作のグリーンゴブリンの戦法との違いも相まって臨場感たっぷりだった。でもグリーンゴブリンのスーツとは違って身体はなんの武装もしてない生身の人間だから警官の銃撃でもかなり危ない。それは彼自身も十分理解してて、終盤のMJを解放しない理由ともうまく整合性をとれてるのが評価できる。
乗客たちが力尽きたピーターを抱きとめて頭上で支えながら運ぶ姿はこの街には彼を必要としてくれる人々がたくさんいることを象徴する名シーン。唯一MJの全編通しての彼氏とっかえひっかえはどうなの？とモヤッとしたけどそれを相殺するくらいには良い出来だった。ハリーがほっとかれたまんまだけどこの流れは次回作には間違いなく…。
本作のドック・オクの最期は改心して川に沈んでいくけど、またスパイダーマン(別人だけど)と争うことになるのは悲しい。もしくは最後の研究施設での戦いの直前にストレンジに呼び出されたって時系列になるのかな？いずれにせよどう絡んでくるか凄く楽しみ。
