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南の風と波
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『南の風と波』に投稿された感想・評価

mingo
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映画館で知り合った50代くらいのおっちゃんとだいたいフィルセンで出会うのだが、いつも寝ちゃいました〜てへぺろて言う癖に本作だけはいやぁ橋本忍凄いですね凄すぎて感動しちゃいましたよって言われたけど、逆に私が寝てしまったのでまた観なきゃなと思っている。。。
実際の機帆船遭難事故をもとに、遺族たちの失意と再生を描いたヒューマンドラマ。

『七人の侍』『生きる』などを手掛けた脚本家・橋本忍の監督作品。監督作は本作と『私は貝になりたい』『幻の湖』の三本のみであり、視聴できたのは貴重な体験だった。

とある四国の漁村。貧窮にあえぎながらも逞しく生きる人々。だれもが自分の人生を生きており、明確な主人公はいない。
そんななかで起こる遭難事故。
愛する人、我が子を失った痛みのうえに、経済的な打撃とそれに伴うさらなる苦痛と別れが襲う。
ある人は周囲からの陰口を叩かれ、ある人は女手ひとりでは育てられないと子どもを手放さざるを得なくなる。ある娘は亡き恋人の子を宿すが、産むか否かに苦悩する。

丹念な日常描写によって失ったものの大きさを示し、その喪失感を執拗なまでに追う。悲しみを乗り越えることができなくても、やがて取り戻される日常が痛みを慣らしてゆく。その時に、人間の強さがあらわれる。
抗えない運命や社会のシステム、自然の驚異など、巨大なものに呑み込まれる人間たちの悲哀を描き続けた橋本忍。自身の監督作品でそのアンチテーゼを提示するというのは興味深い。非常に地味だけど、人の逞しさを丁寧に表現した映画だった。

撮影・中井朝一、美術・村木与四郎など『七人の侍』のスタッフを用い、前監督作『私は貝になりたい』に引き続いて新珠三千代が主役(?)、ノンクレジットだったけど田中邦衛が寡黙ですこし危ない青年を演じている。小池朝雄の「海の男」っぷりもよかった。
脚本家としても演出家としても、橋本忍という人の力量がよく分からない世代というのか、あまり馴染み・共感度がない鑑賞をしてきた。しかし、なんとなくまわりの持ち上げ方から、映画界の巨星のひとりらしいというのは感じてる(『生きる』『いろはにほへと』『切腹』等才気を感じる作品がないわけではない)。
流石に、(この時点では日本人では増村あたりぐらいしか現物は観ていなかったろう)『揺れる大地』を彷彿とさせる意欲作と云いたい題材である。都会との格差が拡がり、そちらに向こうにも貧しく後進的で、一家の大黒柱をはじめ働き手が命の危険に晒されてる、家族間・住民間の偏見や因襲に伴ういさかいや歪みも多い、しかし皆前を見るを諦めることは考えずどこか健気な、南の南・高知の中村あたりの小漁村の話し・群像劇であり、やはり、船の難破(ここでは乗り手全て絶望的)が中心部に置かれる。中井朝一のカメラの日本の隅にひっそり存在する光景を捉え尽くすグラディエーションの伸びやかさ、人の表情から家屋・泥道から彼方沖?の船形まで対象に最善・明確な大きさと高低のキメ、が美しい。立派に一般興業映画としての一般性と作家の突出性の両方を獲得している。
しかし、この題材で90分は不足だ。狭い村での、血縁の入り交じり、支配・従属関係の表に出てきづらい最もコアとなるべき部分が、奥まではくっきりとは見えてこない(亡兄の最愛の妻を弟が受け継ぐ、同じく事故で亡くなった恋人のお腹に遺した子の・相手の家系絶えるを知っての処分、また遺された老母や子らの引取りのバラバラ、等あたりまで)。せっかく、舞台の土地の出身、中嶋丈博を、自分とタイトル上、同格に起用したのなら、いろんな形の粘りが有り得たのでは? 橋本自身関西人だからこの辺りの説明つかないドロドロは分かってそうなものだが、茫洋とし捻れた社会圧力に対する個の論理からの明確な懐疑・プロテストor結果敗北に留まる人だ(晩年の奇作はその反動か?)。中盤以降の暗さを覆すポジティブな人間の根っこの最終での発現に至るラスト(慰めとなるかたちあるものの、確認を超えた)は、橋本の資質に従っただけにも見えて、やはりほんものの世界とは違うと思う。長谷部慶次が今村や熊井と組んでの世界観とはもとより違うといえば、それまでだが。