ろく

愛の渇きのろくのレビュー・感想・評価

愛の渇き(1967年製作の映画)
4.0
「全くお前は怖い女だ」ほんとそれ。

蔵原監督は観たことないと思っていたんだがフィルモグラフィー見たら南極物語の人だった。たぶんそれしか観てないけどね。

それはそうとこの作品。もうね、浅岡ルリ子の狂気が止まらないの。狂気?本気?いややっぱり狂気でしょ。

夫が死んだルリ子は(なんで死んだかはよくわかってない。鳥頭だ、俺)義父の愛人になる。これだけで噴飯ものの設定だけど、当然じじぃの相手なんてダメだよルリ子。ってことで若い園丁、三郎(石立鉄男)を好きになってしまう。

しかし三郎はそんな気もなし。やきもきするルリ子。妄想の中では三郎とスキップ。きゃっきゃうふうふルリ子である。

しかし三郎は下女を妊娠させ(いやだわ不潔!)、結婚することに。問い詰めるルリ子。ここらへんでは狂気の片鱗。さらに三郎がいないときに下女に「堕ろして!」下女と一緒に産婦人科へ。そのまま堕胎。手術中は熱視線。怖い、怖いよルリ子。

その後ルリ子は三郎に告白。三郎困惑……かとおもったら猛然レイプ。大丈夫か三郎。現場にはじじぃが鍬を持って現れれる(鍬って、お前)。鍬で三郎を叩き殺すルリ子。そして穴を掘って三郎を埋める。

最後は急に真っ赤になったフィルムの中を歩くルリ子。キルビルみたいないい姿勢。そこに痺れる憧れるぅ。

スタートから終了までルリ子の狂気が止まらない。いや待て。ほかのキャラも狂気だよ。終始笑っている石立鉄男も怖いし、家長のじじぃも怖い。いやこの家に居候しているじじぃの息子(なぜか急に頭にパーティ帽子)も怖いし。そういえば、場を無視して言葉を発する子供たちも怖いじゃないか。

そういえば三島ってやりすぎだよねとふと思った。「やりすぎコージー」ならぬ「やりすぎ三島」(憂国なんかその最たるものだよ)。そんなやりすぎな原作者にはやりすぎなこんな映画が似合っているぜ。いろんな意見あるだろうけど俺は好きだぜ。この映画も、ルリ子も。
ろく

ろく