れもん

ドラえもん のび太のワンニャン時空伝のれもんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2004年に公開された『ドラえもん』の映画シリーズ25作目。
2005年には声優陣の総入れ替えなど大幅にリニューアルした『ドラえもん』だが、リニューアルするまでを「第1期」、リニューアルしてからを「第2期」と呼ぶのが一般的らしい。
今作は、「第1期」最後の作品として有終の美を飾ったと言えるくらいには良作。

11、13、18、22作目のように「地球環境を破壊することで動物に迷惑をかける人間」というテーマを扱った作品はこれまでに散々あったが、今作のように「ペットを飼ったり捨てたりすることで動物に迷惑をかける人間」というテーマを扱った作品はこれまでに無く、その点において新しい作品だった。
主に子供が観る作品だと思うので、環境問題よりもペット問題のほうが身近で良いテーマだとも思った。

それだけに、ズブやズブの子孫であるネコジャラたちが単なる悪役のように描かれていたのは少々残念だった。
のび太たちが3億年前の地球に連れて行った動物たちは、(意図的ではないにしても)のび太たちが一度も会いに来なかったことで二度も人間に捨てられる体験をしたわけなので、ズブがあのような思想を持つのもおかしくはないと思うし。
ズブからしたら、空き地の土管に置いてけぼりにした人間も、3億年前の地球に置いてけぼりにした人間も、等しく憎かったのだろう。
それでも、もらった名前は捨てなかったのが切ない。

やはり、せっかく子供に向けた作品で子供にとって身近なテーマを選んだのなら、人間がペットを飼ったり捨てたりすることの責任や反省についても描いてほしかった。
もちろん、尺の都合もあるだろうし、あえて描かないことで説教臭さが薄まっているというのもあるだろうとは思うけど。

今作は、「イチによく似たハチは一体何者なのか?」という謎を抱えながらストーリーが進んでいくが、その謎の真相が明かされるシーンがクライマックス。
小さな子供にはわかりづらかったかもしれないが、こういうSFっぽい設定があるからこその『ドラえもん』だと思う。
個人的に、子供の頃に観て今でも記憶に残っている『るーみっくわーるど 炎トリッパー』と設定が似ていると思った。

ところどころでしずかを萌えアニメのキャラクターのように描くのはやめてほしかった。
時空間のねじれゾーンで大人になり服がはち切れそうになるシーンとか、ワンニャンごっこつけ耳をつけて頬を染めながら舌を出すシーンとか、何故か往年のお風呂シーンよりもキツく感じてしまった。

さて、大山のぶ代のドラえもんとは今作でお別れ。

一旦区切りがついたので、個人的シリーズ「第1期」作品ベスト3を選出してみようと思う。

第3位
24作目『のび太とふしぎ風使い』(2003年公開)
https://filmarks.com/movies/37906/reviews/138945563

第2位
19作目『のび太の南海大冒険』(1998年公開)
https://filmarks.com/movies/24511/reviews/138588085

第1位
6作目『のび太の宇宙小戦争』(1985年公開)
https://filmarks.com/movies/34434/reviews/138068523

偶然にも、2000年代、1990年代、1980年代の作品がひとつずつランクインした。
いつの時代にもそれぞれ名作があったということかな。
第1位に選んだ6作目には、今作でのび太たちが乗った乗り物の元ネタになっているロコロコも登場するので、今作のファンでまだ観ていない人がいれば是非観てみてほしい。

そして、私が今後「第2期」の作品を観るかどうかは少し考えようと思う。

【2022.08.13.鑑賞】
【2022.08.14.レビュー編集】
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