邦画独特のあのゆる〜い、一見つまんない感じな空気感が好きな人はきっと好きですし、
ああいうのはちょっと・・・って人もこれだったらなんとかいけるんじゃないかと思います。
それもこれもリリーフランキーさんのスパイスがうまく効いていて、何というか、、とってもいいんです!!
木村多恵さんも去ることながら、ほんとナイスキャスティング!と膝をたたいてしまいそうなはまり具合でした。
もともと橋口監督の作品のカラーは大好きでしたが、彼の作り出す何とも言えない寂しさや切なさや暖かさなんかはこの作品は逸脱でした。
学生から付き合って何となく結婚して、潔癖な妻と、楽天的な夫。女にルーズといわれている割に、すごく一途。ダメ男っぽいけど、細々でもちゃんと仕事してるしで包容力のある夫カナオ。
バブルの余韻から、転落していく社会情勢のなかで、さほどバブリーさもない地味なカップルがそのまま地味な夫婦になり、様々な環境の中でどうにかこうにかして生きていく。
二人はさほど裕福でもなく(むしろあんまり。。)
うらやまれるような特徴もない。
でもなんだか無性に羨ましい瞬間があるんです。
ラブラブではないし、一見冷めている?かのようにも見えるのに、なんだか温かい。
体温位の温度が少しづつ流れていく感じ☆
鬱病になったり、子供が流れたり、こういう不幸って映画だからじゃなくて実は誰の身にも背中合わせにあるものだから
なんだか親戚のような気持ちになってこの二人を見守っていた。
「夫婦」なんてものについては100人居れば100通りの形があるのだから、ひとつの定義では語れないけれど。
この映画をみると、「うん、うん、こんな感じだよね。」って言いたくなる。
良くも悪くも「夫婦」の姿をありのままに描いていて、もしきっとコレを二十歳位で見てたら「結婚ってこんなものなの?」なんてがっかりしちゃったかもしれない。
いまの私の年齢だから、きっと夫婦というものの愛や何やらだけじゃない「情」のつながりのわずらわしさと愛おしさをなんとなくほほえましく観ることができたのかもしれない。
夫婦だって所詮は他人同士。
いつだって万全じゃない。
完璧な状態を愛するのが恋。
どん底の状態でも愛すことができるのが夫婦。
他人同士がこうも向き合って生きていくことは本当に難しい。
「もっとうまくやれるはずだった。」「もっとうまくやりたかった」
木村多江のつぶやく最後の台詞が心に染みました。
完璧じゃなくたっていい。 隣に誰かが居て、時々でいいから笑い合うことが出来ればそれだけで夫婦は合格なんだと思いました。