りっく

沈丁花のりっくのレビュー・感想・評価

沈丁花(1966年製作の映画)
3.8
父親が死んで歯科医院を継いだ長女の京マチ子、次女の司葉子。既婚で子持ちの三女の団令子。婚約が決まった四女の星由里子。まずこの四人が高峰秀子の衣装監修のうえ美しい着物姿で横一線で歩いていく冒頭から心躍る。

そこから物語は、長女次女にふさわしい男性探しに奔走する周囲との温度差のギャップから生み出される笑い、意地が強く口が悪い名女優たちの口八丁手八丁の合戦、自らを犠牲にして家業を継いだ長女次女を思い図る母親の杉村春子の寂寥感が入り混じり、四姉妹もののホームドラマとして非常に味わい深い。

母親の兄である三木のり平が紹介し後に既婚者だと判明する宝田明、近場に歯科医を開業するために司葉子をスカウトしようとする小林桂樹、息子の先生であり鈍感の極みである仲代達矢など、カバのように口を開け、女性の前ではなすすべのない名優たちのバカ面を眺めるだけでも楽しい一作。
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