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es [エス]のikoanのレビュー・感想・評価

es [エス](2001年製作の映画)
3.8
2001年制作、ドイツの映画。かなり面白く、衝撃的な内容。70年代にスタンフォード大学で実際に行われた心理学の実験を脚色した作品。映画に出てくるエピソードは実際の実験でも起こった出来事のようです。
囚人、看守、双方和やかな感じで始まった実験は、次第に看守は看守らしく、囚人もそれらしくなり、対立が生まれ、暴力が起こり、抑制が効かなくなり最後には…。
いや〜、人間の心理って本当に怖いもんですね。権力を与えられると人間はそれを使わざるを得なくなるんでしょうね。
劇中、看守の横暴に堪えかねた囚人が、看守に向かって、お前なんかナチのクソ野郎!みたいな事を叫ぶシーン、ドイツ人にはイタイ台詞でしょう。
アウシュビッツで看守をしたナチス兵にも戦争前は、ごく普通の人間だった人もいたのだと思います。権力を与えられた人間はその役割を果たそうとする。スタンフォード大学の実験を見るまでも無く、人間はこのような経験を踏んでいたのではないでしょうか。
この映画2010年にアメリカでリメイクされてるようですが、もう少し早ければ、アブグレイブ刑務所の事件は起きなかったのかな…。
なんて能天気な事を思いました。いやいや、日本でもパワハラは社会問題ですよね、決して他人事ではない、共通の心理なんですね。
怖い怖い…。
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