伊達巻

怒りのキューバの伊達巻のレビュー・感想・評価

怒りのキューバ(1964年製作の映画)
4.9
内容も内容なんだけど、とにかく映ってるものが凄すぎて感情が全然追い付かない。映像芸術のひとつの到達点と呼んでもいいんじゃないか。有名な葬儀のシーンとか何回も観てるはずなのに変な声が漏れそうになったが他のシーンも半端ではなく大地を歩いているのに海に溺れているような主人公のシーンだったり煙幕の中を歩くだけのシーンだったりもうめっちゃ凄いぞくらいしか言葉の出てこないショットの連続にただただ感嘆するばかり。お金とか思想とかがあれば撮れちゃうような代物ではない。批判されるべき面もあるんだろうけど、だからなんだと言われてるような気持ちにもなってきてしまうくらいのド迫力。勿論と言うか、ラストの行進など高揚感にノリ切れないところもあるが、それを踏まえたところで果てしなすぎる映画的な魅力があって引き込まれてしまう。でもやっぱり単なるエンタメ作品なんて言えるはずもなくて、もう一度観て、いくつかの観点からこの映画と向き合い直したいなと思った。タイトルとかの雰囲気的にめちゃくちゃうるさい映画だと思ってたら、これ以上ないくらい粛然とした独白で始まるから勝手に面食らった。静けさにまで至る怒りか。で静かすぎて相変わらず2回くらい意識が飛んでいき目が覚めたら全く違う物語が始まっててウワァやっちまった!って絶望したがどうやら4つのオムニバスから成っているようで一安心。今回ヴェーラでみたのは108分くらいの短縮版、完全版もいつか絶対に観たい。
伊達巻

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