えくそしす島

ファニーゲームのえくそしす島のレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
4.0
【暴力の本質】

監督本人が言うようにハリウッド映画などに多く見られる「ご都合主義な暴力」や「娯楽としての暴力」に対するアンチテーゼ。

身の回りで目に付くニュースを思い出して欲しい。
映画的な都合が良いストーリー展開なんてほとんどない。暴力が絡んだら尚更だ。

話としてはシンプルだ。
二人組の男のゲームに家族が巻き込まれる。それだけだ。この映画はストーリー展開を楽しむものでは無い。

独特な撮影で視聴者にこう語りかけ、訴えかけてくる。
お前らがいつも楽しんで見ている暴力ってこれの事だぞ?と

暴力や胸糞の代名詞と言われている今作。実は直接的な暴力表現はほぼない。
暴力を受けている描写は見せずに一体どのように表現しているのかを自分の目で確認して欲しい。

ハリウッド映画にありがちな主人公側のご都合主義を二人組の男に完全に「振り切った」。
ハネケ特有の皮肉を込めて。

この二人組を人としてではなく「暴力や不快の集合体」として見ている側に突きつけてくる。

人間の本質もまた暴力なのかと思う時がある。
否定できない人は多いのではないだろうか。

娯楽としてネットで残酷な動画を見たり、電車に飛び込んだ人を所掌の静止も聞かずに、周りの人達が一斉にスマホで動画撮影を始めた、なんて話を聞くとゾッとすると同時にこの映画がリンクする。

「これが見たいんだよな?」