“何もなかった時代だけれど、心は豊かだった……。”
……と、よく聞くノスタルジーに浸る為のあくまで幻想としての昭和を活写したファンタジー映画。ドラマ運びは兎に角ベタにもベタの人情話。ベタベタである。
しかしベタなのが悪いってことではない。
昭和ノスタルジーというコンセプトに則ってその時代の当事者でなくとも懐かしく温かい気持ちになれる。現代劇では通用しないだろうが変わらぬ普遍的なものだ。
アナログな時代をCGで再現するというそのCGの使い方も面白かった。SFではなくこういう使い方もあるのかと。
前述の通りリアルに時代の変遷を追う映画ではないしシリーズを重ねたところで深みが出る訳でもなくドラマの高まりようもないから二作目以降はまあいいかなってなるんだけど。昭和ノスタルジーが通用するギリギリだったろうし。今現在ではもうこのノスタルジーは通用しまい。
この当時で最も活き活きとした芝居を見せてくれた堀北真希が印象深い。かっぺ娘がまさか似合うとは……。完全にお母ちゃん女優と化した薬師丸ひろ子も。