タマル

網走番外地のタマルのレビュー・感想・評価

網走番外地(1965年製作の映画)
3.5
いやー、やっぱいいっすねー。
田中邦衛さんはシケモク吸ってるのがよく似合いますねー。
以下、レビュー。


『網走番外地』、後に18作もの後続を生み出す人気シリーズの一作目は1965年に作られました。
1965年は東映にとって大きな節目となった年です。60年代の急激なテレビの普及、『用心棒』『椿三十郎』からの残酷時代劇路線への潮流、東映の時代劇量産体制に伴う粗製乱造化など様々な要因によって、東映が時代劇からの撤退を宣言したのが、この1965年でした。
裏を返せば、この宣言は「東映はこれから任侠映画で食っていくのだ」という決意表明です。
同年、東映は『網走番外地』『昭和残侠伝』といった傑作ヤクザ映画を発表し、高倉健という任侠映画の確固たるスターの製造、獲得に至るのです。

さて、ここから内容の話。
今作は2回目の鑑賞です。とはいえ、1回目は中学生ぐらいに見たので網走刑務所内でのやり取り以外はほぼ忘れておりました。
改めて見直してみると、やっぱり序盤はメチャクチャ面白い!!
網走駅から紐で繋がれた犯罪者どもが縦に並んで歩きながら、各々喋る。本当に好きな導入。ごく自然な流れでキャラクター性とか、その後に予想される関係性とかをスマートに紹介していてゴリゴリテンション上がりました。

あと、高倉健が超楽しそうで良い!!

「下にぃー、下に! 下にぃー、下に! 下にぃ〜下にぃ〜。」

からの

「どうして俺はこうバカなんだ……どこまでいってもバカの繰り返しだ……」

までのテンション落差が最高に好きです。


しかしながら後半はちょっと微妙な点が多かった気がします。
wikiによると、アメリカ映画『手錠のまゝの脱獄』を換骨奪胎したのが後半ということになるのですが、そのシチュエーションに至るまでがどうにも急すぎる。
私は『手錠のまゝの脱獄』を見ておりませんし、そういった経緯も知らなかったのですが、そんな私でも手錠のまゝで脱出させたかったんだなー、と思ってしまうぐらい作為性を感じてしまいました。
途中で「ある事実」が発覚する点も、スリルを削ぐだけであまり上手くないなーと思ってしまいました。

結論、この映画は良い! だけど続編は……って感じです。
オススメです。
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