爆裂BOX

ゾンゲリアの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ゾンゲリア(1981年製作の映画)
4.3
小さな港町パッターズ・ブラフで凄惨な連続殺人事件が発生。保安官ダンは事件解決の為必死に調査を続けるが、事態は混迷を極め、自分の妻の言動にも怪しいものを覚え…というストーリー。
「ゾンビ」+「サンゲリア」を合わせたタイトルからチープなバッタもんゾンビ映画想像しますが、「バタリアン」のダン・オバノンが「エイリアン」でもタッグを組んだロナルド・シャセットと再びコンビを組んだ異色のゾンビ映画です。
深夜のパトロール中に男を撥ねてしまったダン。しかし男は片腕がもげる重傷を負いながら腕をもってその場から走り去る。車に付着した肉片を鑑定に出すと死後数か月たったもので、更に検視官兼葬儀屋ドップスが過去に違法に死体を使用した前歴があることを突き止めたダンは彼に疑いの目を向けるという内容です。
冒頭、写真撮影していたカメラマンの男がブロンド美女に誘惑されるも、突然謎の集団に襲われガソリンかけられて火をつけられるというショッキングな始まり。そこからは保安官ダンが殺人事件の謎を調べる静かな展開ですが、所々にショッキングな殺人シーンが挟まれます。
何時ものゾンビ映画の様にゾンビが「アアー」と襲ってくるような展開は無いので、普通のゾンビ映画を期待して見ると肩透かしに終わると思います。自分も子供の頃に見た時はそういうゾンビ映画期待したのでがっかりした所ありますが、大人になってみてみると謎が謎を呼ぶサスペンス・ミステリー調で進むストーリーと、アメリカ映画ながらゴシックでヨーロピアンな雰囲気漂う所等引き込まれて飽きずに見れましたね。
本作に登場するゾンビはブードゥーゾンビで、生前と変わらぬ風貌と知性を持っています。集団で「笑えよ」とカメラをパシャパシャ撮りながら笑顔浮かべたり無表情で凶器もって迫ってくる所は「2000人の狂人」のような田舎ホラーの様な雰囲気あります。無残に殺されたはずの犠牲者が何時の間にかガソリンスタンドの店員など町の一員になっている所やダンが自分の妻に疑いを持つ所等ボディスナッチャー物を思わせる所あります。
何といっても美人ゾンビリサ・ブロントが印象に残りますね。冒頭の誘惑シーンでオッパイ出しますし、VHSやホラーマニアックスのBDのジャケにもなってるナース姿が素晴らしい。「サイレントヒル」のリサや「サイレン」の理沙のモデルになっただけあります。
人喰い描写はりませんが、焼け爛れた顔や目に突き刺さる注射針、石で叩き潰された顔や硫酸を鼻から注入されてドロドロ溶ける顔などのゴア描写はイタリア映画思わせる強烈さです。遺体修復シーンはグロさと美しさが合わさった名シーンですね。「ターミネーター」や「エイリアン2」を後に手掛けるスタン・ウィンストンだけあります。
住民の一人でロバート・イングランドが出演しており、ヒッチハイカーの少女役でティム・バートンの元嫁リサ・マリーが出演しています。
クライマックスで流される殺人収めたフィルムも異様な迫力ありますし、銃で何発撃たれても日常会話続けようとするダンの妻も不気味でした。そこから自我取り戻して「私を埋めて」と懇願し、談も涙ながら埋めるシーンは哀愁漂ってましたね。墓地に次々顔が崩れかけた住民達が集まる所もかなり不気味。しかしドップスの技術凄すぎるな。目的自己中心的でカルト集団化してるけど。
ラストは今となってはありふれたものですが、それでもこの時代では襲撃的ですし先駆的でもありますね。
このタイトルと地味な感じで損してますが、隠れた秀作異色ゾンビ映画ですね。