やられたらやり返す精神で対峙しなければどうにもならないことは世の中に沢山あるわけで。守られる存在である未成年と、子供を導くべき存在である大人という、本来ならば有り得ないはずの対立構造を描きながらも、綺麗事で終わらせないところが人間臭くて良い。
子供の頃は「先生」というだけで正しい人、間違いを犯さない人のように見えていた。
これは本作の子供たちもきっと同じで、ことある事に「先生なのに無責任じゃない?」だとか、「先生のくせに」といった、先生というものを一定の物差しで測っているような、高尚であって然るべき生き物として見ているような言葉が飛び交う。
けれども教師は、大人は、聖人ではなくただの人間なのだから、万事を受け入れ諭すようなことはできない。
大人とは名ばかりで中身は子供同然の人なんてゴロゴロいる。
監督の他作品(サスペンス系)は演出が苦手に感じたから今作はどうだろうと少し不安に思っていたけど、とてもマッチしていたと思う。
雨の日、もしくは雨予報が出ている曇りの日に、照明を付けずにカーテンを閉め切っている部屋のような、どんよりとした暗さが最初から最後まで続く。
そして忍び寄る狂気、抑えずにはいられない狂気、新たに生まれた狂気、それぞれが交錯する様を様々な音楽が彩る。
これぞ湊かなえ!!と思わせられる作品で最後までぐんぐん引き込まれた。