玻璃

スワロウテイルの玻璃のレビュー・感想・評価

スワロウテイル(1996年製作の映画)
5.0
ポスターの暗めな雰囲気からなんとなく手を出せずにいたけど、見てみたらものすごく刺さった。見終わって1週間くらい経っても余韻が残っていて、毎日YEN TOWN BANDのアルバムを聞いている。

ホラーチックなポスターからは想像のつかない、壮大な世界観。これを撮れるって、岩井さんの頭の中はどうなってるんだろうと思わされた...
フィクションの世界なはずなのに、本当に円都は存在していたんじゃないかという錯覚に陥る。途中グロくて目を背けてしまうシーンもあったけど、世界観に引き込まれてあっという間だった。

アゲハを演じる伊藤歩さんをはじめ、CHARAさん、三上さん、キャストの魅力が溢れ出ている。ちゃんと見るのは初めてな演者さんばかりだったけど、魅力的すぎてキャラクターに愛着が湧いた。
特に私の胸を撃ち抜いたのは渡部篤郎さん演じるランでした....あのカッコ良さには抗えない....

そして、日本人俳優が中国人を演じている違和感もさほどない上に、劇中で登場する日本語の少なさすら気にならなくなる。俳優陣の凄まじい力量を感じさせる作品でもあった。


岩井監督の作品はこれまでいくつか見てきたけど、今回も人の死のうえに成り立っている物語だった。アゲハは母が死んだことをきっかけにグリコに巡り会い、それぞれの運命が動き出す。他にも劇中で亡くなる人はいるけれど、やはりその死によって物語は動いていく。テーマの徹底がすごいと思う。
玻璃

玻璃