和哉

告白の和哉のレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
5.0
サスペンス・復讐劇として相当に面白かったです。
主人公の最後のセリフである「なーんてね」は少年Aにとっては最高に皮肉な言葉でインパクト大でした。

主人公の事を「サイコパス」と表現する人がいますが、むしろ少年AがAAAクラスのサイコパスでしょう。(ちなみに、サイコパスは先天性or親からの影響が大きな影響を及ぼすという学説が主流です)
しょうもない理由で主人公の何よりも大事な我が子を奪った上、それを微塵も後悔していない人間が「少年法」で守られ続けるという地獄以上の苦しみの中で主人公は「復讐」に走ったのでしょうしね。
しかも、自身を唯一理解してくれている女生徒にマザコンを指摘され逆上して殺害し、母親に忘れられていると感じた途端にヤケクソになり他の生徒も巻き込んで死のうだなんて自己愛過多・自己中・身勝手の極みどころの話ではありません。

というか・・・主人公の徹底した復讐鬼っぷりは圧巻ですし、松たかこさんの演技も凄かったですが「主人公がサイコパスすぎる」といった安直な感想を抱く人が一定数いるのが個人的にはとても怖いです。

あと、凶悪で確信犯的な少年による事件の数々が起きるたびに散々言われている事ですが・・・「いい加減に少年法は廃止したほうがいい」というのがこの映画を見て一番感じた事です。
子供が歪んで育つ理由として家庭環境によるものが大きいですし(この映画でもそれが大きく描かれていましたしね)社会全体の問題として一人一人が問題意識を持って周囲の人に思いやりを持てるようにならないといけませんが、だからと言って「歪んで育ってしまって可哀想だから、どんなくだらない理由で人を殺してもしょうがないよね。少年だから許してあげないといけないよね。」という不条理すぎる苦痛を遺族に与え続けるのはあまりに酷な話です。
和哉

和哉