ちろる

女の子ものがたりのちろるのレビュー・感想・評価

女の子ものがたり(2009年製作の映画)
3.9
田舎の風景に深っちゃんだなんて、かわいいポスターに魅かれてほんわかムービーを想像して観ていると、結構おもいテーマも潜んでいる。

でもこれがサイバラワールドなのか、見終わった後また感じるのは、やっぱり田舎の少女たちの成長物語をほっこりノスタルジックな映画を観たな~という印象。

これでもかってくらいみんな貧乏だし、男もDV、だめおやじだったりで、でも彼女たちはそれが小さい頃から当たり前で何も不幸だなんて思ってない。

すこし冷静ななつみと複雑な環境で育つきいちゃんとみさちゃんとの友情は年齢を重ねるごとに深い絆となっていくが、大人に近付いていくにあたって、ぶち当たったのが、お互いの「将来の展望」のおおきなズレ。

田舎で適当な男と結婚する事に抵抗があるなつみと、暴力を振るわれても、お金が無くても、そんなものでしょと諦めるきいちゃんとみさちゃん。

もちろんなつみが正しわけではない。

「幸せ」なんてひとそれぞれ、自分のものさしで他人の思うベストな生き方を批判なんか出来ない。

大好きな親友があまりよくない方向に行こうとしている時、はたして自分はどんな行動をするのだろうとふと考えてしまった。


ラストにさしかかるにあたって壮絶になっていくそれぞれの人生。

大人って生きるだけで本当に大変。
子供のときのように無邪気のままでいられないし、笑顔のままでも居られない。

これでもかという現実に立ち止まる日だってある。

でもそんなときにふと思い出し、そして心の支えになるのが幼い時から絆を結び合った親友の存在なのだ。

「わたし、みんなの物語かいてもいいかな。」

あのときに伝えられなかった思い、大切だよって言う気持ち。

そして彼女たちが決して不幸なだけなんかじゃないきらきらした女の子だったことを証明するための、これは西原さんから彼女たちへのプレゼントだったのかもしれない。
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