ぬーこ

道のぬーこのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.3
監督 フェデリコ・フェリーニ

母と姉妹達と暮らすジェルソミーナは、ある日旅芸人のザンパノに1万リラで買われ、道化師として共に旅をすることになる。

好きな映画だったなぁ。どこか展開に既視感があったのは本作を模した数多のパロディに触れたことがあったからだろうか。
人生の喜びも悲しみも成功も転落も全て表しているかのよう。

帽子を被ったり、ラッパを吹いたり、恋をしたり、ジェルソミーナの表情が愛らしい。彼女はとても魅力的だった。
ザンパノと旅をし、成長するのだけれど、年相応の幼さ、純粋さ、無垢さはずっと残っていた。

ザンパノは生きる為なら何でもするたまに酷いやつ。だけど嫌いになれなかった。彼は信条を一度も曲げたことないし、不運でもある。生きる為に毎日自分を正当化していかなあとならない。彼はいつか鎖をちぎることができなくなり、それか鎖の破片が胸に刺さって独りで死ぬのだろう。それが彼の歩む道。

ラストのシーンはじーんと来るものがあった。置いて行ったのだから、それは予想していただろう。でも4〜5年経ってもまだジェルソミーナのことを後悔していたのだろう。

ジェルソミーナの初夜の後、泣いてたかと思ったらすぐにザンパノを愛おしく見つめる視線はなぜか。時々感情が読み取れない表情がある。

ジェルソミーナの持ってたトマトってなんの意味だろう。

○セリフ
この世の全てが役に立つんだよ、この石ころだって
→石ころは何の役に立つの?
→俺は分からない。けれど、この石ころが無意味になら、全て無意味だ。


2020.200
ぬーこ

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