へちょりーの

県警対組織暴力のへちょりーののレビュー・感想・評価

県警対組織暴力(1975年製作の映画)
4.5
「全員悪人」
この作品を一言で表すに相応しい言葉だろう。

大ヒット映画「仁義なき戦い」のキャスト・スタッフをほぼ引き継いで製作したところから、深作欣二監督・東映のこの作品に対する本気度が窺える。

製作背景事情として「仁義なき戦い」をヒットさせていた東映を当局が快く思わず、当局の圧力に反発する思いを込めてタイトルが付けられた。
内容も警察とヤクザの癒着関係を描いてり、警察もしくは権力批判の作品でもある。

タイトルこそ「県警対暴力組織」ではあるが、内容は警察上層部と大手ヤクザ(川手組)vs地元ヤクザ(大原組)の対立を描いている。
話が進めば進むほど、どこにも正義と言うものはなく、互いにある仁義を貫こうとする者達の群集劇が繰り広げられていく。

「仁義なき戦い」もそうだが、この作品も音楽が非常に印象的。
まさか最後の立てこもりへと続く事件のBGMが「こんにちは赤ちゃん」だなんて誰が予想するだろうか。

「仁義なき戦い」「県警対組織暴力」を東映が生み出してくれたからこそ、「孤狼の血」や「アウトレイジ」が生まれてきた。
製作陣に感謝を込めて。