さききち

隣人は静かに笑うのさききちのレビュー・感想・評価

隣人は静かに笑う(1999年製作の映画)
3.4
VHSリリース時ぶりの観賞。
ネトフリに来てたのでアガった。

ストーリーやコンセプトは全く違えど、ある意味、黒澤清の『クリーピー 偽りの隣人』の原型のような作品。

-人当たりの良い職場のあの人、実は腹黒悪口魔
なんてことはよくある話だが、
そんな日常の、現代社会での、時折感じてしまう爆発しそうな不信感や猜疑心、負い目。テロリズムの恐ろしさである「潜伏」と、平穏な日常を根底から打ち砕く「突然の出現」。

猜疑心の行き着く先を時に繊細に、時にドラスティックに、時に唸るほどの巧妙さで描ききる。

白石晃士の作品でも繰り返し描かれているが、真実を知らない圧倒的大多数の一般人と真実を知るたった1人。
真実を知るが故に、慄き、狂乱し、警告する後者。その姿は、マジョリティからするとただのキ●ガイ。真実が見えていても、一般人からすると、ただのキ●ガイ。

9.11以前の作品ながら、潜在するテロの恐怖分子と、素性のわからない現代コミュニティに切り込む良作。

中盤、女性の婉曲的言い回しや顔面力で心底震えたシーンがあった。あの絶望、忘れられない。
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