女衒の男と女性たちの生き様を描いたヒューマンドラマ。
原作は宮尾登美子の同名小説で、五社英雄が監督を務め、両者による「鬼龍院花子の生涯」(1982)、「陽暉楼」(1983)に続き高知三部作の第三弾。
緒形拳が主演、十朱幸代が妻役を演じる。 高橋かおり、名取裕子、石原真理子、真行寺君枝、草笛光子、宮尾登美子、島田紳助らが共演。
大正時代、富田岩伍(緒形拳)は芸妓になる娘の売買を生業としており、妻(十朱幸代)と二人の息子を心の底では大切に思っていた。ある日、岩伍は神戸の港で虐待されていた少女(高橋かおり)を不憫に思い10円で買い取り、自分の娘として妻に育てさせる。また岩伍が取り持った豊美(名取裕子)はやがて土佐で一番の人気芸妓となり岩伍を慕うようになる一方で、岩伍は興行した娘義太夫(真行寺君枝)と関係を持ち娘が生まれる…
大正の高知を舞台に女衒の男と彼を取り巻く女たちの生き様を描いている。
緒形拳が漢気のある主人公を渋く演じ、十朱幸代が良妻賢母を好演するとともに真行寺君枝ら女優陣による体を張った競演を満喫できる。
義侠心のある主人公を中心に、愛憎の入り乱れた物語が繰り広げられる。
主人公と妻はお互いを愛しているが故に意地の張り合いと虚勢が切なくも哀しく哀愁を誘う。
”櫂は三年 櫓は三月”
2025.1 BS松竹東急で鑑賞(よる8銀座シネマ)
第9回 日本アカデミー賞で監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞、音楽賞を受賞(1986年)