理事長

大人は判ってくれないの理事長のレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.3
✒️あらすじ
パリの下町で暮らす少年アントワーヌは、学校では教師から叱られてばかりで、家庭では両親の口論が絶えず、息苦しい毎日を送っていた。そんなある日、親友ルネと学校をサボった彼は、街中で母親が見知らぬ男性と抱き合っている姿を目撃してしまう。翌日、前日の欠席理由を教師に尋ねられたアントワーヌは、母親が死んだと嘘をつくが…


✒️感想
これは映画と言うよりはあるひとりの子供のドキュメンタリーを見ているようだった。
完全に子供視線の作品です。

学校では皆がふざけていたり悪いことをしているがいつも先生の目に付くのは主人公のアントワーヌ。
先生の目につけば、先生は自ずと意識せずに自然とその子供に対してのフィルターが「悪さをする子供」になってしまって、余計に目に付くんですよね...

家庭でも両親は自分の欲望やコンプレックスに夢中になってしまって自分の子供がどんなことを感じてるのかを無視して自分の価値観で子供を判断してしまい、まともな教育もしなかった。

そんな複雑な環境で育ったアントワーヌは当然悪さをしては怒られというような日々。
その時の大人の言動は「大人は判ってくれない」という題名をそのままどストレートに描いてました。

最後のシーンは子供はその場に馴染めなかったり、周りの人間の心について何かを悟るとその場から離れようとする。
だけど、離れた後のことは考えていない。
とにかく離れて離れるたどり着いた海とただ1人の子供は、孤独さや冷たさを暗示しているようで、その時の子供の表情は何を語るのか...?

物凄く考えさせられるのと同時に、自分の子供時代を思い出します。
私も親の喧嘩が絶えない時期があり、家出をしたことがあります。その時もアントワーヌと同じように離れることだけを考えて、その後は考えてませんでした。
その時は母親が探して見つけてくれはしましたが😅

なんでもお見通し的な態度をとる親や大人は、実はなにも分かっていない。子供心ながらに、こんな所で傷ついたことって誰でもあると思います。
あまり多くを語らず非行を繰り返していく主人公の姿から、怒りと悲しみが伝わってきます。

これは親になった人たちが定期的に観るといい作品だと思う。


✒️作品情報
『大人は判ってくれない』は、1959年のフランス映画。

フランソワ・トリュフォー監督の最初の長編映画。
原題の「Les Quatre Cents Coups」(あえて直訳すれば「400回の殴打、打撃」)は、フランス語の慣用句「faire les quatre cents coups」(「無分別、放埓な生活をおくる」といった意味)に由来する。
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