ジャン黒糖

ダンテズ・ピークのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

ダンテズ・ピーク(1997年製作の映画)
2.9
『ツイスター』繋がりで似たジャケットのこちらもこのタイミングで初鑑賞。
どうやら1997年当時公開された『ボルケーノ』と本作のイメージが被った印象がある人多しみたいなのですが、未鑑賞だった自分は『ボルケーノ』の街中にマグマだらけのイメージに比べたらこちらは火山灰のイメージがあり、それ以上のことを考えたことがなかった笑

【物語】
全米で最も住みやすい人口2万人以下の町、第2位に選ばれ、大手企業の支社誘致で活性化が期待されるダンテズ・ピークに関して、奇妙なデータが地質調査所で観測された。
これを受け、調査に向かったハリーはそこで町長のレイチェルに自然豊かな町を案内してもらう。
酸性の強い湖水や枯れた森林に不信感を抱いたハリーは噴火の可能性があるとして町民への避難警報を出そうとするのだが…。

【感想】
今回初めて観たのだけど、なにしろ主演は『007/ゴールデンアイ』で一気にスターダムをのし上がったピアース・ブロスナンと、『ターミネーター』シリーズのリンダ・ハミルトンとくれば、ジェームズ・ボンドとサラ・コナーという最強2人組だからね。
2人を前にしたらそりゃ噴火なんて霞むんじゃない?なんてナメたことをぼんやり思いながら観始めた。

イケおじである地質調査担当である主人公ハリーは、シングルマザーでダンテズ・ピークのある町の市長レイチェルに出会うところから物語は始まるのだけど、長男が反抗期を迎えたシングルマザーと夫の不在を埋めるイケおじによって子供たちや犬含め、擬似家族化していきながらも噴火から逃げる、ともなればいかにも80〜90年代パニック映画らしい要素満点。
こりゃ面白さある程度担保されているピースが多く期待できそう。


しかしこれを観る前情報としてIMDbにしろ、 Filmarksにしろ、評価が『ツイスター』に比べて総じて低いのが目に入ったのがちょっとした不安要素だった。

どっこいところが、中盤までは「え、そんなに悪くなくない?」と思っていた。
むしろ、噴火が起きる仕組みや地質調査で確認できる噴火の兆候などを映画を通じて学ぶことができ、なるほどなるほど、と興味を唆られた。

特に、竜巻やハリケーンなどの気象予測と違い、噴火はいつ発生するのかの見極めが難しいという点。
地震だって最近でも話題になったように、必ず日本で起きると言われているけれど、それが今日か、1週間後か、来年か、正確には出せず確率に過ぎないことを身をもって知っているからこそ、劇中描かれる、ハリーを信じて今すぐ避難するのか、小さな町ゆえの避難警報を出すことで生じる政治的・経済的影響と地質調査状況を勘案したうえで継続測定=静観を続けるか、という論点はリアリティある内容で面白かった。
(ただ、小言を言うようだけど、「これはいよいよマズい」と地質学者こハリーが確信する科学的証拠が、「え、そのレベルなら普通に一般市民もザワザワしてません?」というぐらい、あからさまに"もうヤバい"証拠なので、これは展開として安く見えてしまった…)


ただ、本作の評価が低いおそらく問題は、肝心の噴火がいよいよ起きて以降の展開で、それまでの一定の科学に基づいていそうな調査はどこ行った?というくらい杜撰極まりない、ツッコミの嵐にあった。

なかでも、劇中主人公たちにとって障壁となる存在たちの顛末には残酷なまでの肩透かしを喰らってしまった。

レイチェルの義母ルースなんか、彼女がしでかしたことについて「私を責めるのね?」と言うのだけれど、そりゃ意味もない行動だったのならアンタを責めたくもなるわ!と思っても仕方がない地獄絵図と自業自得の展開が後半待っている。
ちょっと義母さん、思い出話は後にして!笑
結局彼女が家に残ると決めた理由が深くはわからないため、そのあとのさも感動ありげな場面も、ルース自身はようやく事の重大さに気付いて反省しているのかもしれないけど、「でもまぁ、いくらでも避けることできましたよね…」と観ている自分としては気持ち冷めて観てしまった笑

ハリーの上司ポールものちの大混乱に繋がるある判断を下すのだが、それ自体は事態が悪化する前にハリーに詫びたハズ。
にも関わらず彼に起きる出来事は呆気にとられる、というか最早唖然とさせられる。
というか、そこまでのクダリも、ハリーの持っている無線はもう電池切れであることをポールはわかっているハズなのに届かない相手に無線で「いま行く!」と伝えたうえに軍の丈夫な車ではなく自前のバンに乗る意味。。
違和感ありまくり展開過ぎて、キャラクターが脚本によって無理やり行動させられている感が凄かった。。


これら2人の場面を観て自分は「なるほど本作は判断を誤った人物にはそれなりの罰が下る因果応報の話なんだな」と思った。
思い返せば冒頭出てきた州外から温泉に来たあの調子乗ったカップルもどうなったか…?ほうほう、繋がった!

すると終盤、ハリーが「え、ここに来てそれやらかす?!」と呆れてしまう、あるミスを犯す。
お、このタイミングでミスったな!ということは…?とこれから起きるであろう顛末に期待して観ていると…

「Thank you〜NASA〜」











…えっ、、そこは主人公フィルター…?笑


あれはきっと撮影当時、台本以上にテンション盛って言うように監督から指示あったのかなとか邪推。
「ほらお前らちゃんとNASAパイセンに礼を言え!スポンサー様だぞ!」みたいな。(クレジット見てないのでわからないけど、やけにここだけNASA迎合しているようで気になった笑)


そもそも、ハリーもレイチェルも、あんなに噴火予測には危機感持って行動してたのに、いざ噴火が始まると行動が場当たり過ぎて…。
(まぁその半分の理由はおばあちゃんが占めてるんだけど)

あれだけ努めて誠実に避難するよう町民に説明し、それでも慌てて逃げる町民を最初こそ助けていたけれどいざ町中パニックになった途端、周りで何が起きようと急にお構い無し。
落下した溶岩がまだ固まり切れてない段階で車乗り上げ。
(あそこ、結果からすると子供を後部座席にいかせる必要なかったよな)


そもそもこれを言ってはお終いなのかもだけど、噴火したにも関わらず、劇中マスクをするのは保安官1人、それも一瞬だけ。
え、舞ってるの火山灰だよね雪山じゃないよね?笑



と言う訳で前半から後半の落差が如実に表れていた。。
良かったのは、終盤の火砕流噴煙発生シーンで、次々と壊されていく家屋や薙ぎ倒されていく木々など、爆風の凄さが伝わってくる。
おぉ!この場面かなり力入ってんな!とワクワク。

あとはCoffee Time!!!Coffee!Coffee!Coffee!!が謎にクセになる。


…ってぐらいかな…笑
ジャン黒糖

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