ブタブタ

宇宙からのメッセージ MESSAGE from SPACEのブタブタのレビュー・感想・評価

4.0
スターウォーズが世界を席巻(日本を除く)している最中、其れを見た東映・岡田茂社長の「スターウォーズが日本公開する前に似た様なもん作って先に公開しちまえ!!」の無茶な鶴の一声により突貫工事で作られた和製スターウォーズもどきSFチャンバラ映画。
しかし今やタランティーノ始め何故か世界的に評価も高くカルト・ムーヴィー化。
クライマックスの戦闘機による要塞突入シーンは言われてる様に本家スターウォーズが『ジェダイの復讐(当時)』で早くもパクっている。
日本の古典である『南総里見八犬伝』(のち深作欣二監督が薬師丸ひろ子主演で映画化)を元ネタに作ったツッコミどころ満載の底抜けボンクラ映画には間違いないけど後の多数のクリエイターや映画に与えた影響は多大な物がある。
ツッコミポイントはもう皆さん書き尽くされてるので(笑)自分が注目したいのは宇宙チンピラ・ジャック。
このジャックは八犬伝で言う所の八犬士≒リアべの戦士の一人でありながら全く役に立たないキャラクター。
東映ヤクザ映画に必ず登場する三下、厄介者、捕まったり裏切ったり迷惑をかける為だけに存在するお約束のキャラクター。
宇宙からの~にもこのヤクザ映画の三下その物のキャラクターであるジャックが何故か主要メンバーの一人として登場する。
このジャックは物語(神話)における「トリックスター」である。
己の欲望に忠実で目的は極論すれば食欲と性欲と自己保存欲しかない生物的に非常な低次元な世界にいる愚鈍且つ怠惰な存在である。
然し裏を返せば其れは生物的に正しく、必要なら直ぐに裏切り平気で嘘をつき人を騙す、敵味方や正義や悪といった概念もない、己が生き残る為なら何でもする、目的が実にハッキリしている。
このジャックに非常によく似たキャラクターが本家スターウォーズにもいる。
失敗作『ファントム・メナス』のSW随一の嫌われキャラ、ジャージャービンクスである。
パンデミック下でのパラリンピックというどうしようもない愚行で感染拡大を進めているバカ政権がやたらお題目の様に唱えている「共生・共存」というキャッチコピー。
ジャージャービンクスはこの「共生・共存」を体現するキャラクターである。
スターウォーズ世界はジェダイ=正義とダークサイド=悪の対立という勧善懲悪の世界ながら一方で「フォースのバランス」という光と闇が共存する世界が最終的な目標であり着地点であるとの主張が繰り返し語られる。
フォースのバランスとは即ち「共生・共存」であり既存の価値観や常識を破壊する存在が「トリックスター」であり本当ならジャージャービンクスは話しが進むにつれ更にその愚鈍さと役立たずさで光と闇の関係すら破壊し両者に調和を齎す存在になっていた筈である。
しかし余りの不人気でエピソード2以降は殆ど出番が無くなったのはご存知の通り。
ファンが望むスターウォーズは勧善懲悪の世界でありジャージャーの様な「共生・共存」は誰も望んでいなかったのである。
そして宇宙からの~のジャックも愚鈍且つ怠惰な約立たずであり、彼は『七人の侍』(『ファントム・メナス』の元ネタのひとつでもある)の謂わば百姓と侍の中間の存在である「七番目のサムライ」竹千代の更に下の存在。
『七人の侍』ではメンバーに溢れた彼も『里見八犬伝』なら席があった。
巨人族でありながら何故か神の末席に座っているトリックスター「ロキ」等の邪悪で怠惰な存在なれど何故かちゃっかり主役達と一緒に最後まで当たり前のように生き残るキャラクター。
宇宙チンピラ・宇宙原爆・宇宙暴走族・宇宙ヤクザ、とにかく必見の底抜けボンクラ映画の傑作のひとつ🚀🌏🪐
ブタブタ

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