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わが教え子、ヒトラーのmiのレビュー・感想・評価

わが教え子、ヒトラー(2007年製作の映画)
4.0
「善き人のためのソナタ」のウルリッヒ・ミューエの遺作となった作品。
彼はこの作品を演じている時、既に末期の胃がんだったとか。
・・・もしかしたら、遺作になるかもしれない。
きっと彼もそう思ったはずだ。
その彼が最後に選んだ作品が、これだったと思えば感慨深い。

ヒトラーを描いた数々の作品の中で
今までにこんな大声をあげて笑った事はない。
そう、これはブラックコメディーだ。

ヒトラーの歴史は、決して消してはならない汚点であるし、今生きるドイツ人にとってもそれが同じ思いである事をエンディングのドキュメントで知った。
世代を超え、歴史は流れてゆく。
それでもあの痛みを忘れてはいけない。

作品の中で語られている内容も、決して楽しいものではなかった。
生と死、それが瞬時に入れ替わってしまうであろう、緊迫した時代。
なのにその根源といえる指導者は、なんと惨めな男なんだ。
数々のヒトラー映画を見るたびに、その感情は私の中で高まってゆく。

人は人に動かされるものではない。
感情は、感情に流されるものではない。
全ては時代に翻弄されるものなんだ。
それを教わった作品です。


最後に、尊敬すべき役者、ウルリッヒ・ミューエに哀悼の意を。
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