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荒野のストレンジャーのペインのレビュー・感想・評価

荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)
4.3
黒沢清監督も“最早、心霊映画に近い”というようなことを言っていたが、それも納得の異様な映画。全く大衆向けでない。イーストウッド作品唯一のR-18指定なのも合点がいく。

『アウトロー』や『ペイルライダー』に比べると作りは荒削りだが、それもなんだか良い味になっていて、監督2作目にしてこんな映画を撮ってしまうイーストウッドは異端中の異端。

『東京流れ者』で任侠アクション映画の型を借りて型を破りなカルト映画を作り上げた鈴木清順の如く、本作はイーストウッドが西部劇の型を借りて型を破りまくった奇っ怪作である。

それまでのアメリカ製西部劇を支えてきたレジェンド、ジョン・ウェインが本作に難色を示したのもよくわかる。

R-18といっても今観ると、さほど過激な性描写や暴力描写はないのだが(※レイプシーンはあり)、終盤の赤いペンキで塗りたくられた町中の建物とそこでのアクション等…何か観てはいけないものを観てしまったような興奮がある。
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