くら

ザ・コーヴのくらのレビュー・感想・評価

ザ・コーヴ(2009年製作の映画)
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この作品を見て、わくわくしなかった訳ではない。
地元警察や役場との駆け引きのような演出は、説明的になりがちなドキュメンタリーにおいて、エンタメを感じることができた。

しかしこのドキュメンタリーが追いかける問題は、イルカではなく、人と人の問題である。
相手ありきの企画において、これほどまで相手をないがしろにしていることに驚いた。
実際のところ、人の目をかいくぐり“入り江”にはたどり着き、“伝統”を明るみにすることはできたものの、あれほどまでに現地住民との関係を悪化させれば、事態の改善はどんどんと遠ざかっていく。
法を犯しているでもない相手に対する、これはいわばただの言いがかりであり、薄い動機でただイルカに執着する男には、正直あまり感心はできなかった。

世間知らず、とも映る彼の姿を見て、せめてカメラを武器にはしたくないと思った。
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