ダンクシー

アメリカン・ビューティーのダンクシーのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
4.5
「美のあふれる世界で怒りは長続きしない。美しいものがありすぎるとそれに圧倒され僕のハートは風船のように破裂しかける。」

登場人物全員キモくておもろい。変態の世界ですね。超〜おもろかった!!!これは自分の中のめちゃくちゃ好きな映画リストに入りましたね確実に。ケヴィン・スペイシーの演技がすばらしい!

タイトルはまさに皮肉。"アメリカの醜さ"を描いた作品。アメリカンビューティーは薔薇の一種で、薔薇は劇中でキーとして描かれている。にしても、とんでもないストーリーだった!

アメリカで生きる人々。ただただ平凡な中流家庭。これがアメリカの家庭だと言われても、信じられる。まずこれが凄い。そんな家庭が崩壊していく様を見事に描いて見せた。しかし面白いのが、ただただ崩壊へ向かうだけではなく、崩壊への過程が個人の再生につながり、再生した途端に崩壊するという構造。

主人公のレスターは娘の友人にメロメロ。妻のキャロリンは裕福を追い求める自己中。娘のジェーンは作られた家庭が大嫌い。アンジェラは平凡が嫌いだから自分が派手な遊び人だと嘘をつき続ける。リッキーはビデオを撮るのが趣味な変態で薬物で金を稼ぐ。フィッツ大佐は自分がゲイであることを隠し続けている。と、それぞれの登場人物が何かしらの事情を抱えており本性が徐々に剥き出しになっていく。。物語を作っている要因は多く、仮面夫婦、ロリコン、隣人関係、薬物、同性愛、銃。これらの要素が上手いことすれ違いにすれ違って、悲劇を迎える。結末への収束の仕方が、完璧すぎるのと巧すぎる!!とんでもねーお話でした。

美とは一体何なのか。薔薇を見て美しいと言う人は多い。自分も美しいと思います。しかし、それは見た目が綺麗だから。表面だけを見て美しいと判断する。本作の登場人物も皆、表面だけを見ているのだ。娘の友人のアンジェラで妄想してる時は常に薔薇の花びらが舞っていた。そんな美の象徴である薔薇のそばに家族写真を飾っている。ただ終盤、レスターが眺めていたのは家族写真。薔薇は見ていない。つまり表面ではなく本質を見始めた。しかしそんなことも束の間、最期を迎えてしまう。

死ぬ時は呆気ない。。失ってみないと分からない、失って始めて大切さに気づくのが人生。死ぬ前に気づきたいものですねぇ。。
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