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フォーリング・ダウンのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)
4.0
1991年6月12日、猛暑のロサンゼルス中心部付近。ハイウェイの大渋滞の列の中に、Dフェンスというニックネームで呼ばれる男(マイケル・ダグラス)の乗る車があった。Dフェンスは、突然車を乗り捨て、別れた妻のベス(バーバラ・ハーシー)と娘のアデル(ジョーイ・ホープ・シンガー)に電話をするため歩き出した。
コンビニエンス・ストアで両替を断られたDフェンスは、しかたなくコーラを買おうとするが、アジア系の店主は85セントを要求し、レジで2人は小競り合いになる。
怒り狂ったDフェンスは店主から奪ったバットで店内を破壊するとコーラの代金50セントを置いて店を出た。やっと電話をかけたDフェンスだったが、相手は話し中。からんできた2人のチンピラを撃退したDフェンスは、再びベスに電話をかける。アデルの誕生日プレゼントを渡したいと言うが、家に来ることを拒否される。
しかし彼はその言葉を遮るようにプレゼントを持って訪ねると伝えた。その時、先刻のチンピラが仲間を連れて車で現れると、マシンガンを掃射。Dフェンスは無傷だったが市民に多数の死傷者が出た。
チンピラたちは車の運転を誤り、事故を起こした。Dフェンスは彼らのマシンガンやショットガンを奪い、立ち去った。
ハンバーガー・ショップの店内でマシンガンを乱射し、払い下げ軍用品店店主ニック(フレデリック・フォレスト)を殺害し、バズーカ砲を奪い、その上そのバズーカで道路を破壊するDフェンス。
ロス市警のプレンダーガスト刑事(ロバート・デュヴアル)は、そんな一連の事件に共通するパターンを見て、密かにDフェンスのことを調べあげ、彼を慕う刑事サンドラ(レイチェル・ティコティン)と共にDフェンスの足どりを追った。
2人はDフェンスの元妻ベスが住むヴェニス・ビーチに行く。ベスは彼らから逃れるが、やがてDフェンスが現れた。
サンドラは彼に撃たれる。プレンダーガストはDフェンスを棧橋に追いつめ、自首するように説得を試みるが、Dフェンスはいきなり銃を向け、プレンダーガストは彼を撃つ。
彼は息をひきとるが、その銃は実は玩具だったのだ。
後にストレスが原因で、職場や社会で銃による大量殺戮が勃発するなどの問題が社会問題化するなどを予見した衝撃作。
突然リストラにあい、妻や娘にはそっぽを向かれ、挙げ句の果てには、入ったコンビニで小銭の両替を頼めば韓国系移民の店長にコーラを高い値段で売りつけられ、公園で一休みしようとしたら公園を縄張りにしているヒスパニック系ギャングに通行料金を請求され我慢の限界に来た主人公D-フェンスが一線を越えて暴走していく展開、D-フェンスが怒りを募らせるのがヒスパニック系ギャングや年度末に繰り返す無駄な道路工事や過大なイメージの商品写真で客を騙すファーストフード店など共感し易いものもあるが、韓国系移民のコンビニ店長などへのレイシズムが見えるのが、トランプ大統領を支持した白人像が見えて不気味。ただフー・ファイターズのプロモーションビデオに影響を与えるなど、病んだアメリカのアイコンになった。
自由と民主主義のアメリカの隠された病んだ部分が描かれた傑作サスペンススリラー映画。マイケル・ダグラスが、思い込みが強い偏執狂のD-フェンスにはまっている。
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