茜

NINIFUNIの茜のネタバレレビュー・内容・結末

NINIFUNI(2011年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

真利子哲也オールナイトにて。

主人公の男は人を襲い、長い道のりを自ら運転しコンビニへ入り、どのカップラーメンを食べるか迷った末ひとつを手に取る。その後たどり着いた場所はどこなのか知らない海で、先ほど買ったカップラーメンを食べ、波を見た後に覚悟を決めて自殺する。

偶然同じ場所でPVの撮影を予定していたアイドルは、車の中で死んでいる男にも気付かず当たり前のように踊って歌う。

日々を過ごしていると、大抵どこに行っても人はいて、その誰かは怒っていたり笑っていたり、悲しんでいたりする。でもそんなことは私には知ったことがない。だが当人はその感情にまっしぐらに生きているのだ。
今こうしてレビューを書いているこの瞬間も、世界のどこかでは深刻な事件が起こっているかもしれなくて、知らない誰かは本当に嬉しいビッグニュースを手に入れたのかもしれない。ある芸能人はどこかでスキャンダルを起こしているのかもしれない。でも私はそれを知らない。
私には、自分の目で見えた、あるいは耳に入ってきた情報が全てなのだ。昨夜のニュースで取り上げられた内容が、あたかもその日全国で起こったなかで特に重大なニュースだったことのようになってしまうのだ。本当は違うかもしれないのに。だって私には見えていないから。

この映画は、メッセージを示さない。
果たして何を伝えたかったのか、いくら考えても答えが出ない。
世界ではいまも誰かが息を耐え、そして新しい命が誕生している。だがその事実は、どこにあるのだろう。私は何を知っていて、知らないのだろうか。
茜