けーはち

アイガー・サンクションのけーはちのレビュー・感想・評価

アイガー・サンクション(1975年製作の映画)
3.2
モニュメント・バレーでの訓練やアイガーの目も眩む絶壁での登攀シーンは秀逸。スタッフの死亡事故もあった壮絶な撮影の苦労を思えば感服するばかりだが、ここに全精力を注ぎ込んだかと思うくらいに、美術教授の007風女難スパイ+山岳冒険+犯人捜しのサスペンス映画のミックスを企図した物語はヘナヘナというか、イーストウッド監督主演作の中でも類を見ないほどトンチンカンである。特に色素欠乏症で常に暗室に鎮座しているスパイの親分の見た目のB級味がすごい。モテモテ・ドタバタ・トンチキをやっても壮大かつ高級感を忘れずに軽妙洒脱に見せてバカらしく思わせる部分もありつつスッと腹落ちする007って良くできてたんだなぁ。ジョン・ウィリアムズのスコアは凄腕の殺し屋ながら情に弱い主人公の内面を感傷的に甘く響かせる。