さすらいの用心棒

浪花の恋の物語のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

浪花の恋の物語(1959年製作の映画)
4.3
近松門左衛門作『冥途の飛脚』を内田吐夢が映画化。

うぶで繊細な優男(中村錦之助)と心清らかな遊女(有馬稲子)の恋愛が、あまりにも悲しい結末に向かうまでを静かに見守る近松門左衛門(片岡千恵蔵)という構図が、斬新だし、救いがある。
事実を描こうとするがかくも不人情な筆を執ることはできないと、二人の悲劇をハッピーエンドに書き換えて上映されるのを見ながら、悔しそうな、悲しそうな色を滲ませる近松門左衛門の表情が染みる。
今だったら確実にCGでやるような壮大なカメラワークは圧巻。