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Knick Knack ニック・ナックのdm10foreverのレビュー・感想・評価

Knick Knack ニック・ナック(1989年製作の映画)
3.5
【スモールワールド】

これも、ピクサー発のショートフィルム。
トイストーリーよりも前の作品で、映像のクオリティなどはまだまだ「道半ば」という印象はあるけど、これも前作の「TIN TOY」から続く『おもちゃの世界』の一コマがテーマ。
そしてジョン・ラセターの中でどんどんトイストーリーに繋がる世界が広がっていく過程が垣間見える一作。

この作品で面白いのは、おもちゃ同士の中にも「グループ」や「恋愛」という概念が存在するという事。
つまり、「なんとな~く意思を持ったおもちゃたち」っていうフンワリした存在ではなく、そこには彼らの世界がキチンと存在していて「できること」「できないこと」「やりたいこと」「やりたくないこと」の区別を各自が取捨選択しながら過ごしているっていう設定。

これは、後の「トイストーリー」シリーズにも脈々と生きているし、それを既にこういう短編作品の時点できちんと描きこめているっていうのが何気に凄いなって感じる。
もしかしたら、この時点で「トイストーリー」の着地点まで見えていたのかもね。

先日見た「TIN TOY」の主人公ティニーもそうだったけど、このスノードームの雪だるま「ニック」も大切にされていて、後のトイストーリーシリーズにもカメオ出演みたいな感じでちょこっと顔を出しているのも嬉しい。
後から作ったスピンオフとかじゃなくて、元々いた子たちも大事にしてるよって感じで。

個人的にはストーリー(っていうほどでもないけど)よりも、パステル調の色合いや、人間の生活感がある部屋の中で、おもちゃ達なりに楽しむ「リゾート感」っていう設定が面白かったし、その中で個々の立ち位置(序列?)が意外と明確に出来ているんだなっていう事が新鮮だった。
あとスノードームの中を舞うパウダーの質感なんかもとてもリアルに感じた。
あとは「人間の表現」ってところで、「ゲーリーじいさんのチェス」に行くんだね。
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