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ボルベール <帰郷>のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ボルベール <帰郷>(2006年製作の映画)
3.3
タンゴの楽曲「Volver」(カルロス・ガルデル)を題材にした血の繋がった三世代の女性(母、娘、孫娘)による人間ドラマ。
ペドロ・アルモドバル監督が 、故郷のラ・マンチャとマドリードを舞台に、女性が苦難に会っても"逞しく"生きる姿を描いている。
原題:Volver (2006)

ラ・マンチャ出身で、火事で父と母を亡くしたライムンダ( ペネロペ・クルス)は、今はマドリードで、夫( アントニオ・デ・ラ・トーレ)、15歳の娘(ヨアンナ・コバ)と3人で暮らしている。
ところが、夫が失業し酒に酔って娘に肉体関係を迫ったため、娘は包丁で刺し殺してしまう。ライムンダは遺体を隠して事件の隠蔽を図る…。
そんな中、伯母( チュス・ランプレアベ)が急死したと知らせを聞いたライムンダの姉(ロラ・ドゥエニャス)は、葬儀のため一人故郷のラ・マンチャへ向かい、そこで火事で死んだはずの母( カルメン・マウラ)に3年振りに再会、自宅に同居させるが妹には内緒にする…。
伯母の友人(ブランカ・ポルティーヨ)は、失踪した母の行方を探していたが、その母はライムンダの父母が亡くなった日にライムンダの父と一緒にいた…。

母と娘の関係の修復が物語の大きなテーマ。
ミステリー風でもあり、10代の頃ライムンダが母を拒絶するようになった理由などが、終盤明らかにされます。
アドモルバル監督らしく殺人は"内輪の問題"とされ、この作品でも罪に問われることはありません。
なお、ヴィスコンティ監督の「ベリッシマ」のワン・シーンが写し出されますが、母親を演じるアンナ・マニャーニがとてもよいので、機会があったら「ベリッシマ」を是非。
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