くじら

肉の蝋人形のくじらのレビュー・感想・評価

肉の蝋人形(1953年製作の映画)
3.7
『蝋人形の館』が面白すぎたのでオリジナルも……くらいのつもりだったけど、これも面白すぎる!!!!!!

燃え盛る館と溶けゆく蝋人形のなんと美しいことか!!!(しかもそれが最序盤)
アクションや崩壊のタイミング、溶け方、どれをとっても天才的。
そして爆発で終わるなんて、どんな大サービスよ。

その後も描かれる小粒な人間模様が丁寧で魅入られる。
若い女たちが可愛すぎてちょっと涙出ちゃった。1950年代の、あざとい女と賢い女のフレンドシップ。

舞台のようなライティング。恐怖のオブジェを順番に見ていくカメラワーク。
本当に楽しい。

蝋の仮面が割れたところなんて怖くてちゃんとゾッとした。普通に怖い。

2000年代の『蝋人形の館』と今作『肉の蝋人形』を比べると、
前者は〈機能不全の家族の復興〉が主軸にあったように見えるのに対して、
後者は〈孤独な芸術家の破滅〉からの純粋な怪物映画に徹底している様子。そして見せ所もだいぶ違う。個人的には純然たる舞台的な映画として今作のが好みかもしれない。
くじら

くじら