Fyohko

大統領の理髪師のFyohkoのネタバレレビュー・内容・結末

大統領の理髪師(2004年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

大統領の理髪師

2004年公開 韓国

2024年12月3日
45年振りに韓国で戒厳令が出された事で
以前から気になっていた
韓国の近代史を映画で学ぼうと
あれこれ調べた結果
時系列順で1作目


1960年代後半から1970年代末までの
韓国における激動の時代を
街で理髪店を営む一庶民と
国家を象徴する大統領の交流を
実在の事件を交えて描いた作品

大統領が暮らす街で
理髪店を営むハンモは
信用する候補者を当選させるべく奮闘するが
不正選挙によって落選
不満を募らせるも
自然と日々の生活に戻っていく

ひょんな事から
大統領の専属理髪師に抜擢されたハンモは
いつも大統領の側にいた

独裁政権中、世間ではアカ狩りが行われており
「マルクス病」という名前までついた

「マルクス病」にかかると下痢をするという
とんでもないデマが横行し
国民も警察もデマを信じて
下痢をしている人々を次々に
逮捕し拷問にかけていた

そんな中、ハンモの息子も連行され
電気ショックによる拷問を受けた結果
下半身麻痺の後遺症が残り
歩行困難となってしまう

息子のために
国中の名医を当たるも
一向に改善の兆しは見えない…が
という話


なんとも信じ難い上に
えげつない話ではあるが
終始コミカルで悲壮感は殆どない

本来ならば
18年間続いた、独裁政権下で
民衆の自由は認められていないし
報道なども、きっちりと規制が掛かっているはずで
現代の日本で生きる我々にとっては
とても生きずらく、閉塞感のある環境のはずだが

登場する人々は
慎ましくも」右往左往しながら
協力し合いながら生きているように描かれている

日本映画で例えるならば
「男はつらいよ」かな

ハンモの家族も、終始
不平不満でケンカばかりしているが
息子のために必死になったりと

軍事独裁政権下であるにも関わらず
案外、庶民の暮らしには
我々が思うほど
影響が無いのかとすら
思わされる作品だった


※劇中ジョーク「四捨五入」の意味が
全くわからなかったけど
その後、韓国の歴史を調べたところ
初代大統領イ・スンマン時代の
不正選挙エピソードだと知った
ポリティカル映画を観る時は
知識が無いと充分に楽しめないなーと
改めて実感した次第


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