3代目ジェームス・ボンド颯爽登場のシリーズ8作目です。
ポール・マッカトニー&ウィングスの主題歌が抜群にカッコいい。
が、作品としてはどうですかね。
オープニングで諜報部員が次々に殺されて生き、
ジェームス・ボンドにその調査が命じられる。
と、導入部分はなかなかうまくできているのですが、
正直言うと全体的には面白みに欠けるのが残念。
タロットやヴ―ドゥー教などの邪道がらみなのがその原因だと思います。
そして、敵役がしょぼい。
敵が強ければ強いほど活劇物は面白くなるのが定番なのですがね。
本作は黒人の秘密結社が敵役なのだが、
彼の野望がケシを大量栽培してマリファナを安価で流通させ、
社会と経済を混乱させるというもの。
いやあ、007シリーズならもっとでかい悪事を計画してもらいたいものです。
金属製の義手をした悪者の用心棒が列車内でボンドを襲うのですが、
同じようなシチュエーションの『ロシアより愛をこめて』の迫力には程遠い。
州警察をも巻き込んでのモーターボートのカーチェイスのシーンが、
一応迫力があって盛り上がるのだけど、
後のボンドシリーズの定番になるアクションシーンの合間のユーモアシーンの挟み方もぎこちない。
ワニがうじゃうじゃいる池の真ん中に取り残され、
ワニの背中をぴょんぴょん踏みながら飛び越えていくシーンはシリーズに残る珍場面じゃないかと思います。
でも、ロジャー・ムーアのジェームス・ボンドはショーン・コネリーにはないソフトな雰囲気で魅力大。
絶体絶命の場面をスマートに切り抜けるのは彼の最大の魅力ですね。
シリーズの中での出来栄えは上位にはおけませんが、
007なので退屈することはないと思います。