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Dolls ドールズのfkyのレビュー・感想・評価

Dolls ドールズ(2002年製作の映画)
2.8
映画を見ていて思うことは、「アート映画は面白くなくても美しくさえあれば良いのか?」という問いである。この問いの答えを僕は知らない。ただこの映画は、「所々面白くしようとしている」のに全く面白くないまま話が進む。演出だけはどんどんソリッドになるものの、面白さという要素を一切置いてきてしまっている。

きっかけのエピソードは非常によくあるメロドラマから始まるのだが、ヤクザの話とアイドルの話のオムニバスに挟まれている間に、2人の運命がモヤモヤとシリアスに、孤独になってきて、ラストを迎える。

菅野美穂が見ている夢の中でのお面が並ぶ絵、ふかきょんと盲目のファンが歩く姿、ポスターアートの紅葉など素晴らしいショットが並ぶし、プレゼントされたアクセサリーを見せるシーンの菅野美穂の表情のウニョ〜っとした移り変わりは切なく忘れられない。北野映画では言葉を喋る人よりも黙って歩き続ける人の方が強い意志、強い運命をもっている。

やはり映画というのは「面白いか、面白くないか」なので、ラストシーンの感慨に騙されてそこまでの苦痛を忘れてはいけないと思う。しかしもし「ドールズ」から北野映画を観た人がいたら北野映画の基準はこれになってしまうだろうと思うくらいの、変な力を持った映画である。
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