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召使のENDOのレビュー・感想・評価

召使(1963年製作の映画)
4.2
ダーク・ボガードが紳士で忠実な召使なのは最初の5分間だけで、いきなり裏の粗野でいやらしい面がどんどん出てくる。インテリアの専横的な選択、主人のフィアンセへのそれとない塩対応に始まり、自分の情婦をメイドとして潜入させ、主人と寝かせたり、主人の留守に我が物顏で、酒浸るとか。
普通バレたら、クビになって終了となるが、その後に別フェーズへ移行する。彼女ではなく、召使に戻るように懇願するのだ。
主人は親の遺産で食いつなぐ、自活力がほぼ0の無能なやつで、フィアンセがいながらも、メイドの誘惑にも簡単に騙されるようなウブでブレブレの人間なのだ。
しかも、自覚のない同性愛者らしい(主人の嘆く背景の壁にボディービルダーの写真が展示されてたりする)ので、なぜ召使にこんなに固執するのかわからないままズブズブになっていく。
再雇用したあとは、召使は家事はやるが、ほとんどカップルと言ってよく、当時、同性愛が白眼視されたイギリスでは、直接な表現ではないが、かなり過激に感じると思う。支配しているのは召使だが、彼もまた、一緒に深みにはまっているようでならない。
酒か薬かはわからないが、朦朧とした状態で、ボール遊びやかくれんぼに興じる2人は狂気そのもの。主人の涙ぐんだ虚ろな目は、廃人として悲しくも美しく恍惚で退廃の極みである。
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