ちろる

トランスアメリカのちろるのレビュー・感想・評価

トランスアメリカ(2005年製作の映画)
3.9
あと数日、あと数日で本当の女になれる!
人生最良の日が刻一刻、刻一刻と迫った時にブリーの元に突然警察から「息子さんを預かってる」と連絡がくる。
一人きりで生きてきたブリーに突然突きつけられた選択。
会ったこともない「息子」と対面して、彼女の人生が予定外の方向に向かう。

トランスジェンダーの主人公の物語を主軸にしつつも、ヘビーな描写は割と少なめなのは観やすい。
彼女の葛藤すらユニークな描写で描かれているのが、彼女自身の魅力にもつながっている。
ブリーを演じたのはフェリシティ・ハフマン、は生まれながらの性別も女性なのだけど、演じてる時は間違えなく身も心もトランスジェンダーのブリーに見える。
すごい・・
ちなみに息子のトビー役のケヴィン・ゼガーズもとても愛おしい。
はじめこそなかなか面倒くさそうな悪ガキであったが、誰かに甘えたいという願望が確かに残っていて、それがブリーとの紡ぐ居心地の良い時間の中で次第に大きくなっていく、その過程をとても自然に演じている。
ロードムービーという事で、道すがらさまざまな出逢いもある。
この手のお話ではお決まりの、びっくりするくらい悪い奴も出てくる代わりに、人の優しさにもしっかりと触れていて、あのインディアンの血筋のカウボーイおじさまのエピソード、とても好きだったな。
LGBTの人たちの「生きづらさ」を描いた作品は多いけれど、極端にそこの部分に固執せずに、ひとりの人間の生き様そして親子の絆とは何か?をしっかりと描いている作品なので、穏やかな感動をもらえる物語を観たい人にもおすすめの作品です。
ちろる

ちろる