ヌルハチ

飼育のヌルハチのレビュー・感想・評価

飼育(1961年製作の映画)
3.0
よそ者への敵意が強く閉鎖的な村社会を描いた映画。

太平洋戦争末期。山間のとある村にB29が墜落する。村人に拘束された敵兵は捕虜として蔵に閉じ込められる。好奇心から捕虜と交流する子どもたち。THE村社会の住民というような偏屈な大人たち。
なにかあったら全部誰かのせいにして排除。大事なのは丸く収まること。黒人捕虜への差別意識も強いが、都会からの疎開者への扱いもひどい。その他人間関係も地獄のような村。

村人の暮らしにはナチュラルによそ者を攻撃して団結しようとする精神が根付いている。他者を理解しようという想像力が育たないまま大人になる、その繰り返しが村の歴史なのだろう。(こういう閉鎖的な場所はいまだに日本に数多く存在するが、都会のリベラルな価値観を求めて村を出る若者はだいたい二度と故郷に帰らないので負の連鎖が続く)

古い映画にはよくあることではあるが音声が不明瞭、信州弁らしき方言のクセの強さもありセリフが聞き取れない部分が多々ある。
三國連太郎の髪型がすごい。