飼育の作品情報・感想・評価

「飼育」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

村の中では都合の悪いもの全てが「黒んぼ」のせいになる。
覚える怒りと嫌悪感。
日本人として目をそむけたくなるものを長回しで捉える本作の大島渚は鬼だ。観客の一人も良い気分で家に帰す気が全くないのがすごい。

一つも笑えなかったけれど、三國連太郎のかわいいモヒカンは見るたびにちょっと吹き出した。
nsd

nsdの感想・評価

3.0
 実は初めての大島渚作品。戦時下の農村が舞台なのは、木下恵介の「死闘の伝説」にも通じるが、イヤーな感じはこちらのほうが上。死闘の伝説も悲劇だけど、こちらには加藤嘉がライフルをぶっぱなすというカタルシスはなく(この映画にも出ている!)、ひたすら村民の内輪揉めを延々と見せつけられる。
 長回しを多用し、音声も同時録音のためだろうか、セリフは聞き取りづらい。でも、それが臨場感とも言える。あっちでギャーギャーやってこっちではイチャイチャして。何だか妙なリアリティがあるような。
 さて、本家と呼ばれる地主(三國)と村民の封建的な上下関係がなければ、ここまで醜悪にはならないだろう。本家、本家と盲目的な村民と、いい加減なのに権威だけ振りかざす役場。まさに当時の日本の縮図と言えなくもないが、全ては、「あとはお前たち適当にやれ」といお上がいかんと思う。一番可愛そうなのはそれに振り回された子供たち。
 いやあ、非常に嫌なもの見た。
時代は前後するが、香川照之の『鬼が来た!』の日本版みたい。
ひとりの黒人の存在によって、村全体の空気が澱んでいく様を丁寧にあぶり出す演出力に感服する。
これも戦争の側面のひとつの描き方だと思う。
見たこともなく、よく知りもしない存在に対する日本人の振る舞いは、今も昔もそう変わらないのが鬱屈した気分にさせられる。
フラットな目線である子供達がこっくりさんをするシーンを挟むことで、"同調圧力"というテーマがよりくっきり浮かび上がる。
状況がシリアスになるほど、三國連太郎が大五郎カットなのがますます気になって困る。
炎上した対象をこれでもかと叩く現在のネット空間と近いものを感じた。
久々に日本映画で始めから終わりまで嫌~な気持ちに包まれる作品に出会って、しばらく尾を引きそう。
あ

あの感想・評価

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延々と地獄を見せつけられた気分です。ここまでする人間が怖い。人をヒトとして扱わない村人たちに嫌悪感を感じる。黒人に対する差別だけじゃなく女性の立場の弱さも描かれていた。
終戦間近なのに酒やらタバコやら当時としては贅沢品がやたら出てくるんですが空襲がこない地方ではありえたのでしょうか?それが凄いひっかかりました。

あんまり飼育感がなかったのもスコアが伸びなかった理由です。
Sou

Souの感想・評価

3.3
最近アマゾンプライムに大島渚の映画がちょこちょこ出てきてありがたい。
村の日本人が戦時中だからかほとんどクズで観てて不快になる。後味もなかなかの悪さでした。
てぃだ

てぃだの感想・評価

2.6
芥川賞受賞作の映画化は「苦役列車」「蛇にピアス」以来なのだけど、直木賞はまだしも芥川賞を映画化しちゃいけないなぁと改めて思った。ちゃちな喜劇に見える。というかそもそもムラの方々、何くっちゃべってるのかモゴモゴしてばっかでよく聞こえない。みーんな誰かのせいにしたくてたまらない人間のエゴとか、記号でしかない気がした。最後の埋葬の場面と三國さんの変な髪型おもしろ。
原作は大江の傑作短篇、「飼育」。雨戸をどんどん閉めていったあと、振り回した傘が開いてしまうのがよかった。長回しが力をもっていて、大江の粘着質な文体に近い効果を生んでいる。けどやっぱり原作のが好きだった。
TSUBASA

TSUBASAの感想・評価

3.6
【ぶつけられる憎しみ】76点
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監督:大島渚
製作国:日本
ジャンル:ドラマ
収録時間:105分
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名画40パーオフでしたので購入。こういうシンプルなタイトルに不穏なジャケットには妙に惹かれてしまいます。捕虜となった黒人に憎悪を抱かせていくとある村人たちの話。大島渚監督の独立作であるとともに問題作ともいわれている今作は中々の見応えでありました。

昭和20年の夏。アメリカの戦闘機が墜落したものの、何とか生き延びた黒人兵士は村の猟用の罠にかかり、捕虜にされる。最初こそ彼を珍しがっていた村人たちであったが。。

どうしようもない憎しみや悲しみを自分とは異なる存在にぶつけることはよくあることです。かのユダヤ人も歴史的に迫害の対象とされてきましたが、14世紀の黒死病など、事あるごとにユダヤ人が悪魔であるとされ迫害、もしくは処刑されてきました。また、1923年に発生した関東大震災においても、そのどうしようもない感情を在日朝鮮人に向けたという記録が残っているのですから恐ろしい。今作においても、村で度々不幸が発生し、その疫病神こそこの黒人捕虜であるとされるのです。歴史的にこういうことはよく行われてきたため、今更驚くことではないのですが、実際に黒人を題材として村人が豹変していくのを見せつけられるとさぞ生々しいです。かくして黒人の「飼育」が始まるわけですが、物語は思いもよらない方向に進んでいきます。

黒人を言わずもがな蔑ろにしているため、問題作と言われても致し方ない。しかし、これこそが悲しきかな、人間の本性でもあるのです。虚ろな目をしてナタを持ち黒人に襲いかかる少年の方がよっぽど恐ろしかったです。戦時中の村人たちの不安を見事に具現化した作品といえそうです。
otom

otomの感想・評価

4.1
部落的な恐ろしさに背筋も凍る。隠蔽主義で責任転嫁なあれこれは、日本らしいとも言えるし、どこの国でもある気もする。最近ではミヒャエル•ハネケの白いリボンとかこんな嫌な空気が流れていた。村人のなんでもクロンボのせいにしちまえーって云う酷さと若者の明瞭さの比較は現代でもありそうではある。ちょっと作りが雑な気がするが、良作。
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