このレビューはネタバレを含みます
ヒロシ:ヒロシです。課長が一言も話してくれないので、今回は僕だけです。『パーマネントのばら』視聴しました。西原理恵子さんと言うと、昔麻雀雑誌で見ていた『無頼派』のイメージしかなかったので、この作品や『毎日かあさん』など、『叙情派』の彼女の一面のギャップに驚くばかりです。
物語は高知の海辺の田舎町にある、町唯一の美容室『パーマネントのばら』に集う、ワイルドでクレイジーで、ちょっぴり寂しそうな女の人たちの物語、ロクな男と出会えず、散々苦労させられながら、それでも『何にもないよりはあったほうがいい』とその恋にしがみつきます。
男のほうも、みんなダメダメで、浮気する、殴る、ギャンブルにハマる、失踪するなど、まともな人は1人もいません。
そして主人公(なおちゃん)は唯一まともで、そんなダメな人達を優しく見守り、暖かく包み込んでいるように見えますが、いちばんマトモそうな人が、いちばん大きな悲しみを抱えています。
小池栄子さんや池脇千鶴さん、夏木マリさんは素晴らしい存在感で、役にハマりきった演技をしていますが、やはりこの映画は主役の菅野美穂さんの存在につきます。儚くて、優しくて、暖かくて、強くて、、、そして悲しくて。
課長は見終わったあと、『ケッ!』と短く舌打ちして出て行きました。
きっと、悲しかったんだろうと思います。映画の中の人物に自分と同じ弱さを感じ、映画の人物と同じように『なおちゃん』に救いを求めようとしたのに、彼女が自分より大きな悲しみを抱えていると知ってしまったから。
そして、自分以外の全ての人がそのことを知っていて、それぞれ自分なりに『なおちゃん』を支えようとしていたのを知ってしまったから。
どんなにダメ人間でも、どんなに悲しくても、生きていかなければならない。そして悲しみを抱えて生き続ける事で、幸せにはならないかもしれないけれど、少なくとも強くはなれる。ほんの少しだけど、周りの人に優しくできるくらいは。
映画を見終わってそんなことを感じました。
以上です。
ストーリー 4
世界観 4
キャラクター5
演出・演技 3
音楽 3
それでも『なおちゃん』には幸せになってほしい度99