きゅうげん

食人族のきゅうげんのレビュー・感想・評価

食人族(1981年製作の映画)
4.0
リズ・オルトラーニの壮麗な音楽のなか、大自然を背景に浮かびあがる『Cannibal Holocaust』のタイトル……。なかなか心打たれる冒頭にはじまり、説明終了後には早速おいしいごはんの様子で、ここはまさに"グリーン・インフェルノ"。

前半の探索パートもショッキングですが、フッテージを再生する後半は壮絶。リンチ・レイプ・動物虐待などあまりに衝撃的な内容がつづき、モキュメンタリー、セクスプロイテーション、モンド映画としてのある種の極北をみせてくれてます。
公開当時に"ホンモノ"と信じてしまった人が多くいるのも頷けます。なんと監督、上映後に殺人罪で起訴され裁判では終身刑を言い渡されそうになったとか。急いでスタッフや出演者を集めて身の潔白を証明したらしいです。
しかし"ヤラセ"を前提として、愚かしさやニヒリズムに根をおろす本作が、そのような些末な事態で右往左往したり、下卑た宣伝で関心を買おうとしたり、作品内外の展開が意味深長に考えさせられますね。

……ところでカメ解体シーンのあとでも、そのステーキはおいしく観えるという不思議。ナショジオとかディスカバリーとかでも、なぜか飯テロ的に映るときがあるんですよね。う~ん、生命の神秘。