トウキョウソナタのしんたろーのレビュー・感想・評価

奇妙奇天烈なエッセンスはしっかりと加えつつ、突拍子もないほどに飛ばさない塩梅と、違和感とノイズを随所に散りばめながら進行していく終始漂う雰囲気は、黒沢清監督の世界観そのものなのだろうな、と感じつつ、たった15年ほど前の作品にも関わらず、時代の様相や表現の制限なんかは様変わりしてしまったことをまざまざと見せつけられるかの如く、前時代的に映ってしまうコンプライアンスを無視したインモラル具合を帯びていて、結局のところのメッセージ性なんかは一度無視して、ラストシーンで言いくるめてくる感じを含め嫌いではなかった。