このレビューはネタバレを含みます
完全に沈黙したまま数日空いてしまい、申し訳ございませんでした!
私生活での卒論執筆や就活が忙しく、立ち止まってレビューを執筆する時間が取れませんでした。
以前よりペースは落ちると思いますが、もう少し投稿頻度を高めますので、どうか見限らず待って頂けると幸いです。
では、本編へと入っていきます。
長々と失礼しました!
北野武による、エンタメ時代劇の秀作!
レビューをしていない作品も合わせて8作目に観た作品でしたが、1番観客に対して開かれ、分かりやすいものだったと思います。
これまで座頭市シリーズは観たことがなかったのですが、そんな私でも十分楽しめる内容でした。
あらすじとしては、宿場町で悪さをしている銀蔵一家に、市(北野武)が用心棒稼業の浪人である服部(浅野忠信)と、仇討ちを目論むおしの(夏川結衣)、おうめ(大楠道代)と共に、闘いに興じていくといったものとなっていました。
全編に散りばめられたスピーディな殺陣の格好良さは言わずもがな、血しぶきの爽快感、場面と音楽のシンクロ、要所要所のコメディシーン、ラストの切れ味の鋭さと、いくつも良かった点を挙げることができます。
ただ上記で挙げた点に関しては、裏返してどうなのだろうと首を傾げる点も内包しており、人体破壊描写に連発による命の軽さや、作り物感満載のタイミングのズレた血しぶき、場面と音楽のシンクロの多用によるダレ、キャラクター性を歪ませたり、ノイズを増やしたりするだけのコメディシーン等々と、良かった点を打ち消すように鑑賞時の気持ち良さを邪魔してきます。
また、一部の人がボソボソと喋るため聞き取りづらかったり、人が近付いてきてそのまま画面を覆い隠し、カットが変わるダサい演出があったり、最終決戦(敵方の用心棒との対決)が意外とあっさりしていたり、インド映画的な主要キャストを含めてのタップダンスシークエンスがラストはしつこく繰り返されながら、歩く座頭市とカットバックさせる謎演出がなされたりと、どうにも手放しで絶賛できるものではないように感じました。
ただ好きなシーン、記憶に残るシーンが多いのもまた事実で、賭場での市の大暴れは蝋燭の火を切って真っ暗にしてから始末していくという、スタイリッシュな映像になっていて痺れましたし、敵方の用心棒との対決の前、彩度が落とされほぼモノクロとなった画面で、焚き火の赤色だけが淡く風に揺れているシーンはハッとさせられる神妙さがあって、鑑賞から日が経った今でも鮮明に覚えています。
総じて、北野武風味を感じつつも、エンタメ的に昇華された脚本や見せ方によって、多くの観客が楽しめる時代劇に仕上がっていました!