birichina

1900年のbirichinaのレビュー・感想・評価

1900年(1976年製作の映画)
5.0

ベルトルッチ監督の、故郷エミリア ロマーニャへの愛が物語や映像にあふれていた。この時代の社会のことも分かって、エンタテインメント&芸術的&歴史的の三要素が揃った作品で見がいがある。

ロバートデ ニーロやジェラール ドパルドゥーもよかったが、一番見ものだったのは悪役ファシストを演じたドナルド サザーランドとその愛人(後に妻)のゾッとするほどの極悪ぶり。子供や未亡人の尊厳を粉々にしていくシーンには寒気がした。
未亡人役のアリタ ヴァリは、たぶん歯を黄色く染めて演じていて、すごい役作りだと感心。

バード ランカスターは「山猫」で演じた役と似たこの役を気に入り、監督がギャラ出せないからオファーできないと言ったら、ノーギャラで出ると答えたそうだ。(「エスプレッソ誌」ベルトリッチのインタビューより。)

ドミニク サンダは期待通り。
ステファニア サンドレッリの出番が少なかったのが、やや残念。でも、農民の女性を先導&扇動するシーンはとても感動的。

ランカスター演じる老地主の死に、「金持ちで明日のパンの心配をしなくていいから(つまり何も考えなくていいから)ボケてしまったんだな」(正確なセリフは忘れた)とドパルデューの祖父(農民)が呟くシーンはしんみりと心を打った。

デ ニーロとドパルデューが娼婦と3人で寝ようとするシーン、2人ともとても楽しそうだけど演技なのか地なのか…。同じ頃に撮影された「ラストタンゴ…」は大論争を巻き起こしたのに、こっちは何のお咎めもなかったのか? シーンの内容が、あちらの陰湿さと違い大らかなので許されるのかな。

老人になったデニーロ、歩き方が変に作りすぎでは?と気になった。
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